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福島県の原発の歴史 : 10基全てが廃炉に

社会

東日本大震災による福島第1原発の事故から8年余が過ぎた2019年7月、東京電力は福島第2原発も廃止する方針を決めた。これで、福島県にあった10基の原発は全て廃炉となる。福島県の原発の歴史を振り返る。

明治期以降、茨城県北部から福島県浜通り南部にかけて開発された「常磐炭田」は、首都圏に近い炭鉱として、近代日本の工業化に大きな役割を果たした。最盛期の1950年代後半には大小合わせて130の炭鉱が稼働、石炭産出量は年間430万トンに上った。しかし、1960年代に入ると石油へのエネルギーシフトが起こり、炭鉱は次々と閉鎖。1976年の常磐炭鉱西武鉱業所の閉山で、福島県の炭鉱の歴史は幕を閉じた。

炭鉱産業の衰退と相前後して、福島県は新時代のエネルギーとして注目された原子力発電所の誘致に注力。常磐炭田地帯の北端に東京電力福島第1原発(大熊町、双葉町)、第2原発(富岡町、楢葉町)が建設され、首都圏のエネルギー供給地帯としての役割を担い続けた。

2011年3月、東日本大震災の地震動と津波の影響で、「福島第1」で重大事故が発生、放射性物質の放出により周辺自治体の住民は長期の避難生活を余儀なくされ、農業・漁業にも深刻な影響を及ぼした。東電内部では運転再開を模索する動きもあった「福島第2」も含めて、10基の原発全てが廃止されることになり、東北電力の小高・浪江原発の計画も撤回された。

1961年9月 福島県大熊町議会が東京電力福島原子力発電所誘致を決議
1961年10月 福島県双葉町議会が東電・福島原発誘致を決議
1963年1月 福島県が東電・福島第2原発の誘致を発表
1968年1月 東北電力が福島県浪江町を原発建設予定地に内定
1971年3月 福島第1原発  1号機運転開始
1974年7月 福島第1原発  2号機運転開始
1976年3月 福島第1原発  3号機運転開始
1978年4月 福島第1原発  5号機運転開始
1978年10月 福島第1原発  4号機運転開始
1979年10月 福島第1原発  6号機運転開始
1982年4月 福島第2原発  1号機運転開始 
1984年2月 福島第2原発  2号機運転開始
1985年6月 福島第2原発  3号機運転開始
1987年8月 福島第2原発  4号機運転開始
2011年3月 東日本大震災、福島第1原発1~4号機で炉心溶融や建屋爆発など、チェルノブイリ原発事故に相当する「レベル7」の重大事故
東日本大震災発生の4日後、福島第2原発を冷温停止
2012年4月 福島第1原発   1~4号機廃止
2013年3月 東北電力、「浪江・小高原子力発電所」計画を断念
2014年1月 福島第1原発  5~6号機廃止
2019年7月 福島第2原発  1~4号機廃炉の方針を決定
2021年度 福島第1原発の燃料デブリ(溶け落ちた燃料)の取り出し開始予定
2051年頃 福島第1原発の廃炉作業完了予定

バナー写真 : 福島第2原子力発電所(時事)

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