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高齢ドライバー問題: 19年上期の死亡事故は前年比2割超減少

社会

高齢ドライバーによる悲惨な交通事故が大きく報道され、社会の注目を集めている。しかし、2019年上半期の状況を見ると、75歳以上の運転者による死亡事故は前年より減っている。

免許保有者あたりの死亡事故件数も着実に減少

警察庁の調べによると、今年上半期(1~6月)に発生した75歳以上の高齢運転者による交通死亡事故は172件で、昨年同期より50件(22.5%)減った。うち80歳以上の運転者による死亡事故は98人で、昨年同期より27人(21.6%)減った。高齢ドライバーによる重大事故が注目される中、当事者の安全意識が高まっているほか、なるべく運転を控える傾向が強まっていることも背景にあると考えられる。

運転免許保有者10万人あたりでみると、75歳以上の運転者による死亡事故件数は3.1件と、昨年同期の4.1件から減少している。もっとも、75歳未満の運転者による数字は1.4件で、それに比較すると死亡事故を起こす割合は2倍以上であることが分かる。

やはり多い「ブレーキとアクセルの踏み間違い」

75歳以上の高齢者が自動車運転中に起こした149件について人的な要因を見ると、ハンドルやブレーキなどの「操作の誤り」が最多の50件で34%を占めた。以下、漫然運転や脇見などの「前方不注意」が41件(27%)、後方をよく見ないなどの「安全不確認」の22件(15%)、「判断の誤り」10件(7%)となっている。

操作の誤りのうち、ハンドルの操作ミスは23件、ブレーキとアクセルの踏み間違いは17件。この「踏み間違い」による死亡事故は全体の11%にあたり、75歳未満の場合(0.7%)と比べると非常に多くなっている。

バナー写真:東京・池袋で高齢男性が運転する乗用車が暴走して、歩行者をはね、ごみ収集車と追突した事故現場を調べる警察官=2019年4月19日、東京都豊島区(時事)

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