Japan Data

TPP参加国からの牛肉輸入じわり増加 : 米豪の2強は変わらず

経済・ビジネス 政治・外交 暮らし

TPP(環太平洋パートナーシップ協定)による関税の引き下げで、カナダやニュージーランドなどからの牛肉輸入がじわじわと増えている。ただ、日米貿易協定交渉は、米国に対してもTPP加盟国並みに関税を引き下げることで基本合意したと伝えられており、引き続き、米国産牛肉の日本市場での存在感は揺らぎそうにない。

2018年末に発効したTPP(環太平洋パートナーシップ協定)で関税が引き下げられた国からの牛肉の輸入がじわりと増加している。牛肉の輸入関税はTPP発効で38.5%から27.5%まで下がり、19年4月からはさらに26.6%に引き下げられた。

財務省貿易統計によると、TPP発効後の2019年1月~6月の牛肉輸入量はニュージーランド産が前年同期比46.4%増の1万101トン、カナダ産が同93.3%増の1万7285トンとなり、前年実績からは大きく伸びた。

TPP ビフォー&アフター

  2018年1~6月(t) 2019年1~6月(t) 前年同期比増減(%)
米国 110,621 116,478 5.3
豪州 148,975 141,075 ▲5.3
ニュージーランド 6,901 10,101 46.4
カナダ 8,943 17,285 93.3
その他 5,835 8,103 71.7

貿易統計を基に編集部作成

TPPから離脱した米国からの輸入は5.3%増にとどまったが、長期統計を見ると、現時点で米国が致命的な痛手を負っているわけではなさそうだ。

長らく、日本の輸入牛肉は米国産と豪州産とで約9割を占めてきた。TPPによってわずかに風穴が開こうとしているが、2019年に入ってからも、米国産は輸入牛肉の40%台のシェアで推移している。さらに、日米貿易協定交渉では、日本が米国に対してTPP加盟国並みに農産品の関税を引き下げることで基本合意に達したと伝えられている。同じ競争条件の下、「米・豪2強」は、当面、揺らぎそうにない。

関税の引き下げで手ごろな価格の輸入肉の流通が増えれば、国内の畜産農家は、さらなる経営努力を求められることになる。

(オリジナルの記事は2019年8月23日に公開、8月26日に一部内容を更新した)

バナー写真 : PIXTA

米国 TPP 通商問題 牛肉 日米貿易協定