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日本のプルトニウム減少、米が大量保有に懸念

政治・外交

高止まりしていた日本のプルトニウム保有量がやや減少してきた。核不拡散の観点から大量保有に懸念を示している米国の要請に応じた動きとみられる。

内閣府の原子力委員会によると、2018年末時点の日本のプルトニウム保有量は45.7トンとなり、前年末から1.6トン減少した。17年末時点で、国内保管分が10.5トン、英国とフランスに再処理を委託して両国が保管する分が36.7トンあったが、18年末にかけて国内保管分が減った。ウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX)燃料を使う「プルサーマル発電」で再利用されたからだ。

プルトニウムは核兵器の材料になるため、国際的に極めて厳しく管理されている。日本は原発で使われた核燃料からプルトニウムを取り出し、MOX燃料として再利用する「核燃料サイクル」を進めており、核兵器保有国以外では例外的に大量保有が容認された。外交関係者は「米ソ冷戦期に共産圏をけん制する狙いもあった」とみる。結果的に1993年に10トン余りだった日本の保有量は2003年以降40トン台に達し、13年以降は45トン超の水準で高止まり。これは原爆6000発分に相当する。

こうした事態に米国内では、日本をまねして他国が核燃料サイクルを掲げてプルトニウム保有に乗り出したり、「核テロ」が起きたりするリスクが高まるとの懸念が拡大。米議会などから是正を求める声も出た。米国は18年7月の日米原子力協定延長に際し、日本に保有量の削減に努めるよう要請。日本政府は当時の保有量約47トンを上限に削減を進める方針を決定した。

ただ、この削減方針を徹底するのは容易ではない。東京電力福島原発事故後、原発再稼働のハードルは高くなり、プルトニウム消費を急激に増やすのは難しい。保有量増加につながるMOX燃料への加工も抑制せざるを得ないが、その場合は、原発利用後の使用済み核燃料がたまっていく恐れがある。

写真:関西電力高浜原発に到着したMOX燃料を積んだ輸送船(時事通信)

核兵器 プルトニウム プルサーマル MOX