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希望退職募集、上場企業で6年ぶり1万人超え:電機大手の厳しい経営環境が反映

経済・ビジネス

希望退職者の募集に踏み切る上場企業が増えている。2019年は電機、製薬会社での実施が目立ち、既に6年ぶりの1万人突破が確定した。

東京商工リサーチによると、2019年1―9月に希望退職者募集を実施した上場企業は27社に達し、9月末の時点で18年1年間の12社を既に大幅に上回った。募集人数(募集人数が不明の場合は応募人数)の合計も1万342人で、2013年(1万782人)以来6年ぶりに1万人を突破した。

募集人数の増加は昨今の厳しい経営環境を反映したものといえるが、現在の業績が堅調でも、将来の需要減予測や人員の偏った年齢構成の是正、事業の絞り込みを考慮し、先行して募集に踏み切る例も目立っている。

業種別にみると、業績不振が目立つ電気機器の8社が最高で、次いで薬価引き下げや国外メーカーのライセンス販売終了などの影響がある製薬が4社で続いている。卸売業でも、ユニクロをはじめとするファストファッションなどとの競争が激化し業績が低迷しているアパレル関連の3社が希望退職者の募集を表明した。

8月に希望退職を打ち出した繊維大手のレナウンは、その後販売拠点を置くデパートの閉店が相次いだために、人員配置を改めて見直すとして10月15日に募集をいったん中止すると発表。新たに人員削減や店舗閉鎖の規模を拡大させる可能性もある。

企業別では富士通の2850人が最多。次いでルネサス約1500人、ジャパンディスプレイ約1200人、東芝1060人などの順となった。

2019年に希望退職者を募集した主な上場企業

募集人数 応募人数
富士通 2850
ルネサスエレクトロニクス 約1500
ジャパンディスプレイ 約1200 1266
東芝 約1060 823
コカ・コーラ ボトラーズ
ジャパンホールディングス
700 950
アステラス製薬 約700
アルペン 300 355
協和発酵キリン 296
鳥居薬品 281
日本ハム 200 213
中外製薬 172
カシオ計算機 156

(東京商工リサーチ調べ、10月7日現在)

募集人数は、2002年にはITバブル崩壊などの影響により3万9000人を数え、リーマン・ショック直後の2009年にも2万人を超えたが、14年以降は景気回復を背景に1万人を切る状態が続いていた。

バナー写真:(mits/ PIXTA)

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