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秋の味覚マツタケ:国内産は流通量のわずか5%

経済・ビジネス

秋の代表的な味覚の一つであるマツタケ。しかし、国内流通の95%が外国産で占められている。

独特の香りを放ち、日本の秋の代表的な味覚といわれるマツタケ。国内各地の主にアカマツの林に自生するが、その生産量はここ50年ほど、長期減少傾向にあり、輸入に大きく頼らざるを得ない。

農林水産省によると、マツタケの国内の年間生産量はピークだった1941年には1万2000トン、60年には約3500トンだったが、その後は里山の放棄や害虫被害、後継者不足などを背景に減少。近年の作柄は、豊作で140トンを記録した2010年などを除けば100トン未満の状況が続いており、17年は18トンにまで激減した。18年は持ち直したものの、63トンにとどまった。

現在国内で流通しているマツタケのうち外国産が占める割合は約95%。アジア産が大半で、そのほとんどは中国からの輸入だ。

マツタケは、長年の研究にもかかわらず人工栽培の技術がいまだ確立していないため、すべて野外で採取される。そのため希少性が高く、収穫期を迎える秋には毎年、高値で取引される。小売段階では、輸入品でも1キロ当たり2~3万円の値が付く。

国内の主要な産地は長野県、岩手県など。2019年の作柄について、岩手県岩泉町の岩泉まつたけ事業協同組合は「豪雨などの天候不順により土壌が悪化しており、あまり芳しくない。ほかの産地も同様の状況と聞いている」としている。

バナー写真:焼きマツタケ(ykokamoto/PIXTA)

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