五輪イヤーでテロ警戒強化:ソフトターゲット含め広範囲に
社会 東京2020
東京五輪・パラリンピックが開催される2020年。1月から各種のテストイベントが目白押しとなる中、警察などの対テロ警備強化も本番を迎える。
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公安調査庁がまとめた『内外情勢の回顧と展望』(2020年版)によると、これまで大規模な国際スポーツイベントで発生した主なテロ事件は下表の通り。
大規模スポーツイベントで発生した主なテロ事件
1972年9月 | 西ドイツ | ミュンヘン五輪選手村イスラエル選手団宿舎での襲撃・人質テロ。選手団11人を含む12人が死亡 |
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1996年7月 | 米国 | アトランタの五輪公園で爆弾テロ。市民ら2人死亡、112人が負傷 |
2013年4月 | 米国 | ボストンマラソンの開場で爆弾テロ、市民3人が死亡、約300人が負傷 |
2015年11月 | フランス | パリでのサッカー国際親善試合(フランス対ドイツ)の競技場付近で連続自爆テロ。市民1人が死亡 |
出所:公安調査庁「内外情勢の回顧と展望2020」
日本を含めたアジアでは起きていないが、同庁は、スポーツイベント自体が「イスラム過激派組織のテロの標的として例示されており、テロリストにとって世界中の注目を集める絶好の機会」だと指摘。これらの組織がテロを計画する可能性も十分あり得るとしている。警戒対象については、競技会場はもとより、交通インフラ、ホテルなどの宿泊施設、ソフトターゲット(観光地)、さらに「首都圏以外の都市部などにおいてもテロに警戒する必要がある」としている。
下の表は、近年の五輪大会であった主なサイバー攻撃。公安調査庁は社会的・政治的主張を目的としてサイバー攻撃を行う"ハクティビスト" として「アノニマス」を具体名として挙げ、「かねて反捕鯨・イルカ漁を掲げている」ことから「こうした活動と絡めた形で東京大会に対するサイバー攻撃が実行されるおそれも否定できない」としている。
過去の五輪大会でのサイバー攻撃
2012年 | ロンドン五輪 | 大会運営に支障はなかったが、電力供給システムを狙ったサイバー攻撃を確認 |
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2014年 | ソチ冬季五輪 | 大会関連のウェブサイトが攻撃などを受けて一時利用できなくなる |
2016年 | リオデジャネイロ五輪 | 大会関係機関からの情報窃取が発生 |
2018年 | 平昌冬季五輪 | サイバー攻撃によるシステム不具合でチケットが印刷できなくなる被害 |
出所:公安調査庁資料
3月には聖火リレーがスタート
東京五輪は7月24日から17日間にわたり行われるが、福島県をスタートして全国を回る聖火リレーが3月26日から始まる。また、1月以降、陸上競技や水泳、サッカーなど約20のテストイベントを予定。また、パラリンピック期間も含め、首都圏を訪れる選手、観客はのべ1000万人以上と見込まれている。
東京五輪・パラリンピックの主な日程
3月26日 | 五輪聖火リレーが福島県でスタート |
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7月24日 | 東京五輪開会式。17日間で33競技実施。参加アスリート1万1090人 |
8月9日 | 五輪閉会式 |
8月13日 | パラリンピック聖火リレー始まる |
8月25日 | パラリンピック開会式。13日間で22競技実施。参加アスリート4400人 |
9月6日 | パラリンピック閉会式 |
バナー写真:東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場(nippon.com撮影)