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新型肺炎で日本経済に打撃、訪日外国人需要は7760億円減少も

経済・ビジネス

中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎は感染拡大が続き、日本経済にも影を落としつつある。少なくとも中国などからの訪日需要が減るとして、野村総合研究所は2020年の日本の国内総生産(GDP)が7760億円(0.14%相当)押し下げられると試算した。

新型肺炎の感染者数は2月3日時点で中国中心に計1万7000人強となり、2002、03年の重症急性呼吸器症候群(SARS)大流行時の感染者総数約8000人の倍以上となった。観光・航空関連業界では「稼ぎ時」とされる春節(旧正月)の需要が大幅に減少し、痛手となりそうだ。特に日本の場合、昨年時点で中国からの観光客数が02年の20倍以上に増えており、「インバウンド(訪日外国人)需要減少の経済的打撃は無視できない」(金融機関幹部)という。

第一生命経済研究所は1月27日時点の試算で、日本の名目GDPが4833億円消失すると分析。一方、野村総研は同日時点で、新型肺炎によってインバウンド関連で7760億円の落ち込みを予測した。これは深刻な流行がSARS同様に数カ月間で収まることを前提にしており、野村総研は「1年間続けば日本のGDPは2兆4750億円(0.45%相当)押し下げられる」と警告した。

新型肺炎が日本経済に与える影響

影響額
野村総合研究所  GDPが7760億円減少
GDPが2兆4750億円減少(長期化想定)
第一生命経済研究所 名目GDPが4833億円減少

(注)いずれもインバウンド需要減少を試算。さらに消費悪化、生産停滞などの影響が生じる可能性も
出典:野村総合研究所、第一生命経済研究所

もっとも、これらの分析はインバウンド需要の影響に限定しており、政府関係者は「流行が長期化し、国内でも感染者数が増えれば、個人消費悪化などの影響も加わりかねない」と危惧している。

さらに懸念されるのは、サプライチェーン(部品供給網)への打撃だ。公共交通機関が閉鎖された武漢市などは自動車や最先端電子機器などの生産拠点が集積しており、流行が収束しなければ、日本企業などの生産、部品調達にも影響が及ぶ公算が大きい。こうした「サプライチェーンの断絶」が中国各地に広がれば、アジア広域の生産活動が停滞し、世界経済の失速につながる恐れもある。

バナー写真:成田空港の検疫所(時事)

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