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児童虐待:被害の子ども、2019年は最多の1991人 

社会

2019年に全国で摘発された児童虐待事件は1972件、被害にあった子どもは1991人だった。ともに前年比で約1.4倍となり、過去最多。死亡した子どもは54人だった。警察が児童相談所に通告した子どもの数は9万8222人で、これも過去最多を記録した。

警察庁のまとめによると、2019年の摘発事件の内訳は「身体的虐待」が1641件と圧倒的に多く、「性的虐待」が246件、「心理的虐待」が50件、育児の「怠慢・拒否」が35件だった。03年からの統計を見ると、上位2項目の順位に変化はないが、15年を境にそれまで4位だった「心理的虐待」が「怠慢・拒否」を上回っている。

虐待の加害者は2024人。摘発件数が最も多い「身体的虐待」では、実父(801人)が最多で、実母(492人)、養父・継父(195人)、内縁の男(143人)と続いた。性的虐待でも男性の加害が目立った。一方、「心理的虐待」「怠慢・拒否」では、最も多かったのが実母(それぞれ23人、28人)で、続いて実父(同20人、12人)が多かった。

警察による児童相談所への通告も年々増加しており、19年は9万8222人。警察が保護した児童数も5553人と、前年(4571人)より大幅に増えた。

一方で、虐待により死亡した児童数は、増減を繰り返しながらも緩やかに減っている。19年は54人で、08年(98人)の半分近くとなった。19年の死亡内訳は「無理心中」が21人、「出産直後」が8人で、それ以外が25人だった。

その背景については、身体的な加害を伴わない虐待や、死亡にまでは至らない身体的虐待が近年増えているとの見方がある。また、摘発件数や被害児童数が統計上増加しているのは、虐待の認識範囲が拡大されたり、警察が虐待事件の捜査や検挙に積極的になったりしたため、との指摘も出ている。

バナー写真:(Graphs/PIXTA)

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