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3月の百貨店販売、3割減と最悪の結果-新型コロナで外出自粛響く

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新型コロナウイルスの感染拡大で百貨店の収益が急激に悪化した。外出自粛や訪日観光客の減少が響き、販売額は前年に比べ3割強も落ち込んだ。これは1980年の調査開始以来、最悪の結果だという。

経済産業省がまとめた3月の商業動態統計(速報値)によると、百貨店の販売額は3787億円となり、前年同月比32.7%減少した。特に打撃が大きかったのは、高級ブランドなどの衣料品で、婦人服、紳士服、子供服いずれも4割前後の減少となった。家庭用品と家具もそれぞれ30.1%、23.4%減っている。

政府が4月に緊急事態宣言を発令した後、首都圏などの百貨店は開業時間の短縮や休日の休業などを実施しており、金融関係者は「4月はさらに厳しい状況になる」とみる。苦境を乗り切るため、三越伊勢丹ホールディングスは取引銀行団に800億円規模の融資枠設定を要請した。

宣言は5月半ば、首都圏や北海道などを除き部分解除されたが、新型コロナの特効薬やワクチンが開発されない限り、移動や大規模な集会が制約される「新しい生活様式」が求められる。百貨店関係者は「『お中元』や『お歳暮』商戦も縮小せざるを得ない」と警戒感をにじませる。

流通業ではインターネット対応が従来以上に重要になるが、「百貨店業界は『デジタル化』に遅れた日本の縮図」(流通専門家)。金融関係者は「事態が長期化すれば、百貨店の衰退に拍車が掛かる」とみる。

バナー写真:緊急事態宣言の発令を受け営業を休止した日本橋三越本店(時事通信)

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