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歴代の東京都知事:著名人がズラリも、地元出身はたった2人

政治・外交

1400万人が暮らす東京都の財政規模は、スウェーデンと並ぶ15兆円。都知事の影響力たるや、一国の宰相に匹敵すると言われる。目下、新型コロナウイルス感染症対策に追われる東京都だが、2021年には延期された東京五輪・パラリンピックの開催も控える。アフター・コロナの巨大都市の運営を担う次期都知事選を目前に、戦後の歴代都知事を一挙紹介。

任期満了に伴う東京都知事選の告示は6月18日、投開票は7月5日。現職の小池百合子都知事は明言を避けているが、再選出馬が確実視される。自民党は対立候補を擁立しない方針を確認、野党は統一候補擁立を模索するも、選定は難航中だ。

前知事の舛添要一氏、その前の猪瀬直樹氏ともに不祥事で1期目途中で辞任したため、小池氏が出馬し当選すれば、石原慎太郎氏以来の再選となる。歴代都知事最多の当選4回を果たしたのは、石原氏と鈴木俊一氏の2人。石原氏は4期目途中の2012年、衆議院選挙に出馬するため、副知事だった猪瀬氏を後継指名して辞任。在任期間最長は、鈴木氏の16年、最短は猪瀬氏の1年。

歴代東京都知事

氏名/在任期間(任期) 出身 主な出来事
小池 百合子
2016年8月~(1期目)
兵庫 コロナ対応、豊洲市場移転延期
舛添 要一
2014年2月~16年6月(1期)
福岡 都市外交、政治資金などの公私混同問題
猪瀬 直樹
2012年12月~13年12月(1期)
長野 五輪招致、徳洲会事件
石原 慎太郎
1999年4月~2012年10月(4期)
兵庫 ディーゼル車排ガス規制、新銀行東京
青島 幸男
1995年4月~99年4月(1期)
東京 世界都市博覧会中止
鈴木 俊一
1979年4月~95年4月(4期)
山形 都庁新宿移転、バブル崩壊
美濃部 亮吉
1967年4月~79年4月(3期)
東京 革新都政、福祉政策、公害対策
東 龍太郎
1959年4月~67年4月(2期)
大阪 1964年東京五輪
安井 誠一郎
1947年5月~59年4月(3期)
岡山 初代都知事、元東京都長官

コロナ対応で陣頭指揮を執る小池氏は、ニュースキャスターとしての経験を活かし、「3密」「ステイホーム」などのキャッチフレーズを織り込む見事な語り口で、連日メディア露出を重ねる。700分の1の国会議員と違い、首長は一国一城の主とあって、政治家としての実績よりも、知名度が選挙でものを言うケースが多いようだ。

国際政治学者の舛添氏、ノンフィクション作家の猪瀬氏は、討論番組の登壇者やコメンテーターとしてテレビでも活躍。芥川賞作家の石原氏の知名度は断トツで、弟の俳優・石原裕次郎氏とともに若い頃から何かと注目される存在だった。放送作家の青島幸男氏は直木賞作家でもあり、作詞家、タレントとしてもマルチな才能を発揮した。

革新系から擁立された美濃部亮吉氏は経済学者で、東京教育大学教授時代にNHK『やさしい経済教室』に2年間出演。台所の経済学を解説するなどお茶の間の人気は高く、3期を務めた。東龍太郎氏は、日本のスポーツ医学におけるパイオニア的存在の医学博士で、知事在任中も含む1950年から68年まで国際オリンピック委員会(IOC)委員も務めるなど、まさに1964年東京五輪のための都知事であった。

「実務派」と言えるのは、鈴木氏と安井誠一郎氏の2人。鈴木氏は、自治庁(現総務省)事務次官出身で、五輪開催に注力する東都政を副知事として支えた経験を持つ。安井氏は内務省出身で、官選時代の最後の東京都長官を務めた後、公選制に移行後の最初の都知事となった。

大阪府は、戦後の府知事10人のうち6人が大阪、京都、兵庫の関西圏出身。橋下徹氏も生まれは東京だが、小学5年生から大阪で育った"地元枠"だ。かたや、9人の都知事のうち、東京生まれはたった2人で、首都圏の神奈川、千葉、埼玉の出身者もゼロ。これも、「地元の顔」というよりも、「首都の顔」を選ぶ選挙ゆえなのだろう。

(バナー写真:左から都知事選の出馬表明をする小池氏、就任時の石原氏と前任の青島氏、3期目の出馬表明をする美濃部氏 全て時事)

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