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盲導犬拒否 52%が経験、飲食店や病院などで:初の全国調査で判明

社会 暮らし 文化 歴史 東京2020

視覚障害者の約半数が盲導犬の同伴を理由に店舗や病院などの利用を拒否された経験があることが、全国盲導犬施設連合会の調査で分かった。障害のある人の生活を支える補助犬の受け入れは法律で義務付けられているが、理解が浸透していない実態が浮かび上がった。

同連合会では、盲導犬育成8団体の全ユーザー(使用者)を対象に、不特定多数の人が利用する施設や公的施設で、2019年1月からの1年間、盲導犬同伴での利用を拒否された経験があるかなどの調査(回答者643人)を行った。全国規模での盲導犬受け入れ調査は今回が初めて。

回答者のうち受け入れ拒否を経験したのは336人(52%)で、そのうちの7割以上が複数回拒否に遭っている。拒否された場所は飲食店が77%と多く、次いで病院25%、電車・バス・タクシーなどの交通機関21%。

拒否の理由(複数回答)は、「犬はダメ」が62%と最多で、「犬アレルギーや犬嫌いの利用客に迷惑がかかる」(46%)、「犬は店の外で待たせるなどの条件をつけられた」「受け入れの前例がない」(各34%)と続いた。

拒否にあったユーザーの69%が「その場で自身が説明した」ものの、「何もしないで諦めて帰った」人も22%いた。さらに、盲導犬について説明するなどして理解を求めた後も利用を拒否されたケースが45%に上った。

盲導犬を連れてレストランや病院、スポーツジムに行ったり、バスやタクシーに乗ったりすることは、障害者差別解消法(2016年4月施行)などにより法的権利として認められている。その分、盲導犬を施設内で静かに待機させたり、予防接種を定期的に行い、体を清潔に保ったりするなど、管理が義務づけられている。それでも「受け入れ拒否」は後を絶たず、視覚障害者らの行動が制限されているのが現状だ。

連合会の担当者は「今後、東京五輪・パラリンピックが予定され、海外からの補助犬ユーザーの来日も予想される。障害者権利条約の批准国として、障害者に向き合う姿勢が問われている」と話している。

バナー写真:全国盲導犬施設連合会提供

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