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老舗企業の倒産・休廃業、過去最多の579件に ―帝国データバンク調査

経済・ビジネス 社会

世界に誇る長寿国である日本は、長寿企業大国としても知られる。ところが、少子高齢化が進み事業環境が急速に変化していることに加え、2019年10月の消費税導入、さらには2020年に入ってからの新型コロナウイルス感染症の流行による経済停滞が重なり、企業にとっては受難の時。「老舗」の看板だけでは生き残りが厳しくなっている。

帝国データバンクがまとめた創業100年以上の企業を対象にした「老舗企業倒産・休廃業・解散の動向調査」によると、2019年度は倒産、休廃業、解散合わせて579件(前年度比24.5%増)を記録し、5年連続増となった。件数・増加率ともに過去最多を更新した。

19年度の579件のうち、法的整理により倒産した企業は105件(同4.0%増)、休廃業・解散は2000年度以降で最多の474件(30.2%増)となった。休廃業・解散は過去最多、増加率も過去最高。法的整理に追い込まれる前に、休廃業や解散に踏み切る背景には、経営者の高齢化と後継者難もあるとみられる。

業種別にみると、2019年度で最も多かったのは「小売」の209件で、全体の36.1%を占めた。業種細分類別では「酒小売」が26件で最多となるなど、上位5業種のうち4つが小売業だった。古くから地域に根付いて商売をしてきた「近所の酒屋さん」「町の洋品店」などが、次世代に引き継ぐことを諦め、黒字経営のまま店を閉じるケースも少なくないようだ。

業種細分類別の件数・構成比

  件数(構成比)
酒小売 26(4.5)
貸事務所 20(3.5)
呉服・服地小売 18(3.1)
婦人服等小売 17(2.9)
食料品小売 14(2.4)
ホテル・旅館 13(2.2)
酒類卸 11(1.9)
印刷業 10(1.7)
木材・竹材卸 9(1.6)
書店 6(1.6)

出所 : 帝国データバンク

帝国データバンクでは、「新型コロナの感染拡大で長期間の営業休止や業容の大幅縮小を余儀なくされ、あらゆる産業で深刻な影響が発生している。2020年度の老舗企業の市場退出は、19年度をさらに上回る規模での急増が予想される」としている。

バナー写真 : PIXTA

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