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企業の本社、東京圏への集中進む:9年連続転入超過に

経済・ビジネス

大阪圏や地方から、本社を東京圏に移転する企業の動きに歯止めがかからない。政府が「地方への本社移転」に税優遇措置を講じても、9年連続で「転入超過」が続いている。

帝国データバンクの2019年の企業の本社移転に関する調査によると、東京都に周辺の3県(神奈川県、埼玉県、千葉県)を加えた東京圏に転入した企業は312社、逆に東京圏から転出した企業は246社にとどまり、66社の「転入超過」となった。転入超過は2011年から9年連続。

19年の超過数は前年(23社)比で43も増えており、この数字をみると、企業の一層の「東京集中」傾向がうかがえる。一方、大阪圏(大阪府、京都府、兵庫県、奈良県の2府2県)は転入126社、転出161社で、調査を開始した1991年以降29年連続で「転出超過」となった。

東京圏へ移ってきた企業の「転入元」として、最も多かったのは大阪府の66社。以下、愛知県(34社)、福岡県(25社)、茨城県(19社)などが続いた。東京からの転出先の上位は大阪府32社、茨城県30社、静岡県20社、福岡県18社の順だった。

東京圏への転入元、東京圏からの転出先の上位5都道府県(カッコ内は社数)

順位 転入元 転出先
1 大阪府(66) 大阪府(32)
2 愛知県(34) 茨城県(30)
3 福岡県(25) 静岡県(20)
4 茨城県(19) 福岡県(18)
5 兵庫県(17) 群馬県(16)

(帝国データバンク調べ)

政府は、東京圏から地方への本社移転を促す税優遇措置である「地方拠点強化税制」を2015年に導入するなどの政策を行ってきたが、東京圏の一極集中に歯止めがかかっていない状況が浮かび上がった。

国内全体をみると、19年に本社移転を行った企業は、前年より1社減って2011社となり、10年以降の10年間で2番目に低い水準だった。

バナー写真:巨大な再開発プロジェクトが進むJRの高輪ゲートウェイ駅(中央)周辺。奥はレインボーブリッジ=2020年4月東京都港区(時事)

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