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ウォシュレット40歳―あくなき「きれい」へのこだわり : 19年3月に累計出荷5000万台を突破

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温水洗浄便座の普及によって、トイレは「用を足す場所」から「一人になれる心地よい空間へ」と昇格した。その先導役とも言えるTOTOのウォシュレットが発売から40年を迎えた。「きれい」「快適」に徹底的にこだわったハイテク技術を中心に40年の歩みを振り返る。

1980年6月に誕生したTOTOのウォシュレットが40歳になった。発売当初、「拭くのではなく、洗浄する」というコンセプトがすぐに消費者に理解されたわけではない。その存在が広く世の中に認知されるきっかけとなったのは、1982年のテレビCMだった。当時は、女優が排せつを話題にするなどありえないことだったが、フリフリの下着で「おしりだって、洗ってほしい」のキャッチコピーが、世間を驚かせた。

それから40年を経て、ウォシュレットを含む温水洗浄便座の一般世帯普及率は80.2%となり、「おしりを洗う」のは当たり前のことになった。訪日外国人が日本に来て感銘を受ける体験の一つとして、しばしば温水洗浄便座が挙げられるほどに、今や、日本は快適で清潔な“トイレ先進国”となった。

ウォシュレットの累計出荷台数は2019年3月に全世界で5000万台を超え 、海外での販売も伸長している。世界各地の5つ星ホテルや著名なランドマーク物件への採用も増加している。

ウォシュレット40歳までの歩み

1978 温水洗浄便座の自社開発を開始
1980 ウォシュレット発売
1982 テレビCM 「おしりだって、洗ってほしい」がお茶の間の話題に
1986 ウォシュレット海外販売開始
1991 臭いの元をオゾンで脱臭する〈オゾン脱臭〉機能追加(96年から触媒脱臭方式に変更)
1993 コンピュータ制御による洗浄で、温水タンク不要のタンクレスを実現 デザイン性向上 
1998 累計出荷1000万台突破
1999 〈ワンダーウェーブ洗浄〉機能追加
2005 累計出荷2000万台突破
2011 累計出荷3000万台突破
2011 〈きれい除菌水〉〈ノズルきれい〉機能追加
2012 〈便器きれい〉機能追加
2015 〈においきれい〉機能追加
2015 累計出荷4000万台突破
2017 〈エアインワンダーウェーブ洗浄〉機能追加
2019 累計出荷5000万台突破
2020 ウォシュレット40歳

〈ワンダーウェーブ洗浄 / エアインワンダーウェーブ洗浄〉

流速の違う洗浄水を交互に噴出することで水玉を連射する〈ワンダーウェーブ洗浄〉技術の開発で、少ない水量で、たっぷりとした洗い心地を実現した。

2017年に市場投入した最新機種では、水玉に空気を含ませて大粒化することで、さらに快適な洗い心地となる〈エアインワンダーウェーブ洗浄〉を採用している。

ワンダーウェーブ洗浄(上)、エアインワンダーウェーブ洗浄(下)
ワンダーウェーブ洗浄(上)、エアインワンダーウェーブ洗浄(下)

〈きれい除菌水〉

水に含まれる塩化物イオンを電気分解し、除菌成分(次亜塩素酸)を含む水を生成する。洗剤や薬品は一切使わず、時間がたつと元の水に戻るので、環境にも負荷がかからない。

〈ノズルきれい〉

ウォシュレットのノズルは、使用前後に水でノズルを洗浄する「セルフクリーニング」機能付き。トイレ使用後には、〈きれい除菌水〉でノズルの内側の通水路まで除菌するので、いつも安心して使うことができる。

〈便器きれい〉

トイレ使用前に、便器ボウル面に水のミストを自動的に吹きかけ、汚れをつきにくくする。トイレ使用後には〈きれい除菌水〉のミストをボウル面に吹きかけ、菌の繁殖を抑えて、きれいを長持ちさせる。トイレを8時間以上使用しない時にも、自動的に〈きれい除菌水〉ミストが吹きかけられる。

〈においきれい〉

トイレの1日の使用時間を学習し、よく使用する約1時間前から作動。トイレ空間の気になるニオイを取り込み、〈きれい除菌水〉フィルターで脱臭。

2017年発売のグローバル統一モデル「ネオレストNX」。ウォシュレット機能を陶器に内包した一体形で、美しいフォルムが印象的
2017年発売のグローバル統一モデル「ネオレストNX」。ウォシュレット機能を陶器に内包した一体形で、美しいフォルムが印象的

バナー写真、記事中写真は全てTOTO株式会社提供

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