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“3密”避けて葬儀も簡素化 : 会葬者が減り、儀式省略も

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新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、葬儀や法事など故人をしのぶ儀式のあり方にも変化が表れている。葬儀会場は、密閉・密集・密接のいわゆる「3密」が起こりやす空間のため、家族やごく親しい人のみの最小限での葬儀にしたり、儀式を大幅に簡素化する例も出ているようだ。

大正大学の地域構想研究所BSR推進センターが全国の寺院関係者を対象に5月に実施したウェブアンケート調査(有効回答517件)で、「葬儀の変化」として8割以上が「会葬者の人数が減った」、4割が「(通夜を省略する)一日葬など葬儀の簡素化」と回答。自由記述欄の書き込みには「火葬場への同行が4人までに制限された」「自治体が会葬者を10人以下にするよう通達している」など、感染拡大を阻止するため行政主導で葬儀の縮小が進んでいる例も挙げられた。

一回忌、三回忌などの「法事」については、「法事自体の中止や延期」が87.8%にも上った。施主は実施したいと思っていても、親戚や家族に感染した場合のリスクが高い高齢者がいて、延期にせざるをえないケースもあるという。

コロナ禍に際して、葬儀や法事での特別な対応としては、8割の寺院が「こまめに換気」「間隔をあけて席を配置」など「3密」対策を心掛けている。「マスクを着用しての厳修(=仏教の儀式を執り行うこと)」も過半数を超えた。


今後の法務への影響についての質問には、「本来の葬儀のあり方が簡略化され、葬儀の重要性が無視されてしまう」「新型コロナウイルスが、葬儀や法要の簡素化を後押しし、もう元の形には戻れないのではないか」などの不安とともに、寺院経営の先行きを懸念する声も上がった。

一方でSNSを利用した葬儀や法事の動画配信や、遠方の親族向けにお墓参りの共有などに取り組む例もあるという。

バナー写真:PIXTA

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