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ない袖は振れない? 経済停滞で、賃上げ実施企業が急減 : 東京商工リサーチ調査

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ガラガラの通勤電車、人の気配のない観光地、シャッターを閉じたショッピングセンター。新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出ていた間の経済停滞で、企業は大幅な売り上げ減などの痛手を被った。その影響で、今年の企業の賃上げ実施率は大幅に低下した。気になるのは、7月に入って再び感染が増加していること。冬のボーナス、来年の昇給は大丈夫???

東京商工リサーチが6月末から7月初旬にかけて実施したアンケート調査(有効回答1万3870社)で、2020年度に賃上げを実施(予定も含む)した企業は57.5%で、前年度を23.4ポイント下回った。

ここ数年は、政府が民間企業に賃上げを促す「官製春闘」が定着したことで、「賃上げ実施率」は80%を超えていた。しかし、「ない袖は振れない」ということだろう、賃上げ企業は急減。規模別では、大企業が65.9%(2290社中、1509社)に対し、中小企業は55.9%(1万1580社中、6477社)で、特に中小企業の実施率が低かった。賃上げを実施した企業に、「賃上げ率」を聞いたところ、3%未満が57.7を占めた。

東京商工リサーチでは、「新型コロナの収束までに要する期間が長引けば、冬の賞与や、来春の賃上げも厳しい事態が現実味を帯びる。可処分所得の下落は消費マインドを冷え込ませ、小売業や卸売業、製造業の業績悪化を誘発し、負のスパイラルに陥りかねない」と指摘している。

バナー写真:ぱくたそ

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