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液体ミルクで子育て負担軽減:双子・三つ子の母親74%が「心に余裕」

社会 暮らし

お湯で溶かす手間などをかけずに用意ができる液体ミルク。子育ての負担を軽減できるとして、国内での製造、販売が2019年春に始まった。出産・子育ての専門団体が、双子などの多胎児の母親を対象に調べたところ、約9割が授乳に負担を感じており、液体ミルクで気持ちに余裕が生まれたとする回答が約7割に上った。

調査は日本産前産後ケア・子育て支援学会と日本多胎支援協会が2020年1月から2月にかけ、1歳未満の多胎児を持つ母親112人を対象に実施した。多胎育児での授乳ストレス、それに、液体ミルクの使用で育児行動や意識がどう変化するかを知るのが目的。赤ちゃん1人につき、液体ミルクを180本配布して2週間使用してもらい、配布前後にオンラインでアンケートを行った。

日本では現在、分娩件数全体に占める多胎(複産)の割合は約1%。

調査では、液体ミルク配布前に「育児で何が大変か」を尋ねた。回答のうち、授乳が50.0%、調乳は48.2%で、全体の約半数の母親がこれらを大変だと感じていた。多胎育児では授乳回数が増える特徴があることから、「授乳回数の多さが育児負担のストレスになっているか」を問うと、「とてもそう思う」が43.8%、「ややそう思う」が44.6%となり、約9割の母親がストレスにつながると感じていたことが分かった。

また、配布前に「家庭で日常的に授乳に関わっている人」、配布後に「実際に液体ミルクを使って授乳をした人」を尋ねた。回答を比較すると、母親以外で授乳に関わる人の割合が「配偶者/パートナー」で81.3%から92.0%へ、「実父母」で34.8%から46.4%へ増加するなど、母親以外の授乳者が増えていた。

配布前後にはこれに加え、「育児についてどの程度気持ちの余裕を持てているか」を聞いた。「とても気持ちに余裕がある」「やや気持ちに余裕がある」とする回答は、配布前には47.4%、配布後には74.2%で、約26ポイントも上昇した。

調査にあたった両団体は、「粉ミルクと比べ簡単に調乳・授乳することができる液体ミルクが授乳者の多様化を促しており、その結果、過酷なワンオペ育児からの脱却に大きく寄与していることがうかがえ」、「日常的に液体ミルクがある生活が母親に気持ちの余裕を与え、それが生活の充実度にもつながっていること」が分かった、としている。

バナー写真:(Taka/PIXTA)

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