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コロナ診療の病院が大幅減益:利益率も10%超すマイナスに

社会

感染対策の負担や風評被害を背景に、新型コロナウイルス感染症患者の受け入れが医療機関の経営を圧迫している。

一般社団法人全国公私病院連盟が全国の病院を対象に今年6月に行った緊急調査によると、4月の外来患者数は4月で前年比マイナス16.8%、5月で同マイナス24.9%。特に初診の患者は3割から4割減という状況だった。

また、この間に新型コロナウイルスの入院患者を受け入れた病院は、受け入れなかった病院よりも収入減少が大きく、経営悪化により苦しんだ。

調査の対象は同連盟会員の1481病院で、うち743病院から有効回答を得た。それによると、コロナ患者を受け入れた256病院では、1病院当たり(平均)の医業収入(診療に伴う収入)から医業費用を差し引いた医業利益が、4月が前年同月比9454万円減の9730万円赤字、5月が同1億1389万円減の9966万円赤字となった。

利益率は、4月がマイナス12.1%、5月がマイナス13.6%。医業利益と同様、5月に入って減少幅が拡大した。医業収入は4月が前年同月比10.5%減、5月が同17.7%減だった。

一方、コロナ患者を受け入れていない300病院の医業利益は、4月が前年比1726万円減となる1570万円赤字、5月が同2418万円減となる2152万円の赤字をそれぞれ計上。利益率は、4月がマイナス5.5%、5月がマイナス8.3%だった。医業収入は4月が前年同月比5.6%減、5月が同12.7%減だった。

また、コロナ患者の受け入れなどのために、184の病院が一時的に病棟を閉鎖した。それらの病院の状況を見ると、1病院当たり4月が8531万円の赤字、5月が同1億78万円の赤字で、利益率は4月がマイナス10.9%、5月がマイナス14.3%だった。

バナー写真:新型コロナウイルスの「重点医療機関」となった大阪市立十三市民病院で、一般外来診療の再開を前に行われた消毒作業=2020年7月9日、大阪市淀川区(時事)

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