コロナ禍で大学院生の過半数が「収入減」: 4割が「月10万円の追加収入必要」と回答
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全国大学院生協議会(全院協)は、大学院生のアルバイトや奨学金などの実態を把握するために毎年度、「大学院生の研究・生活実態に関するアンケート調査」を行っている。2020年度は6月から7月にかけてオンラインで実施し、600人(118校)から回答を得た(※1)。
それによると、コロナ禍により収入が「減少した」人は42.7%、「無収入になった」人は10.4%で、合わせて5割を超えた。両回答の合計を属性で比較すると、男性が47.9%だったのに対し女性は60.9%、非留学生が50.0%だったのに対し留学生は77.6%だった。
コロナ禍により研究や生活を維持するために1カ月あたりどのくらいの追加収入が必要か質問したところ、10万円以上が必要と回答した人が40.5%に上った。一方、「必要ない」と答えた人は26.4%に過ぎず、収入に変化がなかった人にとっても追加支出が生じたことが推測された。
緊急に支出が生じたと回答した人は47.2%で、そのうち5万円以上の支出が生じた人は26.3%。使途は、授業のオンライン化に伴うWi-Fiなどの機器、通信環境の整備や、図書館が休館になったことによる文献や資料の購入などだった。
キャンパスへのアクセスが困難になったことで受けた研究への影響については、「図書館の資料・書籍を利用できない」が71.0%と最も多く、「指導教員はじめ教員とのコミュニケーションの機会が減少した」(62.6%)、「調査・フィールドワークに行けない」(44.7%)などが続いた。
キャンパスへのアクセス困難による研究への影響(複数回答可)
(%) | |
---|---|
影響はない | 5.5 |
図書館の資料・書籍を利用できない | 71.0 |
オンライン機器(パソコン・タブレット・Wi-fiルーター等)を用意しないといけない | 24.4 |
通信環境の整備(通信費含む)をしないといけない | 25.7 |
研究・ 実験器具 が利用で きない | 38.7 |
調査・フィールドワークに行けない | 44.7 |
海外への留学・研修に行けない | 21.2 |
指導教員はじめ教員とのコミュニケーションの機会が減少した | 62.6 |
学会での報告の機会がなくなった | 41.6 |
休学を検討・予定している | 5.2 |
退学を検討・予定している | 2.7 |
その他 | 6.3 |
(全国大学院生協議会調査:2020年)
課程別では、特に博士課程で「学会での報告の機会がなくなった」「海外への留学・研修に行けない」とする回答が目立った。全院協は「将来研究者として認められるに必要な業績を積まなければならない博士課程が、より研究への影響を感じている」と分析している。
バナー写真:(Fast&Slow/PIXTA)
(※1) ^ 性別は男性57.2%、女性39.5%、その他0.7%、回答の意思なし2.7%。学年は修士課程1年21.0%、同2年28.2%、博士課程1年13.2%、同2年13.7%、同3年13.5%だった。