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クマの出没情報が増加:2019年度の捕獲数は7割増の6285頭

社会

人里や住宅地でのクマの出没情報が、連日のように報道されている。ここ数年多かった台風の被害で山が荒れ、ドングリなどのエサが不足しているのが原因との見方もある。

環境省の調査によると、2019年度(19年4月~20年3月)のクマの出没情報(北海道を除く)は1万8314件あり、18年度の1万2809件から4割以上増加した。20年度も8月末までの5カ月間で既に1万1112件となっている。

19年度のクマの捕獲数(都道府県知事などが許可した許可捕獲数)は、前年度(3586頭)から75.2%も増加し、6285頭となった。20年度も8月末までの5カ月間で3207頭と、ハイペースで推移している。

クマが人間を襲うケースも増えている。同省の統計「クマ類による人身被害について」(速報値)によると、19年度の全国の被害件数は、前年度の51件から3倍近く増えて140件となった。20年度は、8月までの5カ月間で56件。北海道や東北、北陸、信越地方で被害が相次いでいる。

最近では10月1日、新潟県内で住民がクマに襲われる被害が相次ぎ、関川村の70代女性が後に大量出血が原因で死亡した。7日には、秋田県藤里町の住宅街で83歳の女性がクマに襲われ、一週間後に脳挫傷のため死亡している。

石川県加賀市、白山市では16日から18日にかけて計8人が負傷。19日には加賀市のショッピングセンターにクマが侵入し、施設が臨時休業する騒ぎとなった。

例年、クマは冬眠から目覚めた直後の4月ごろから冬眠直前の晩秋の11月ごろまで、出没情報が数多く寄せられる。普段は山奥に生息するクマが人里に降りてくる要因は、エサとなるドングリ類の不足などが考えられている。同省は、クマの多い地域では、放置果樹、廃棄農作物、生ゴミといったクマを誘引するものを除去することや、農耕地への電気柵の設置などの防止策をとるよう呼び掛けている。

バナー写真:野生のクマ(hiro/PIXTA)

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