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温室効果ガス、排出最少―環境省速報値

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「脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言する」―菅義偉首相は就任後最初の所信表明演説で温室効果ガスの削減を実施ゼロとする方針を打ち出した。温室効果ガスの排出量は6年連続で減少しているものの、脱炭素実現への道はまだまだ険し。

環境省が公表した2019年度の温室効果ガス排出量は二酸化炭素(CO2)換算で前年度比2.7%減の12億1300万トン(速報値)となり、6年連続で減少した。排出量を算定している1990年度以降、最も少なかった18年度を下回った。

2011年の東日本大震災での福島第1原発爆発事故を契機に、全国の原発が次々と稼働を停止し、13年度の排出量は14億1000万トンまで増加した。その後、発電電力量に占める石油火力の割合が減少し、再生可能エネルギーの割合が増えたことで、排出量は減少基調にあった。19年度は米中貿易摩擦などの影響による製造業の生産の落ち込みも排出量の減に寄与したとみられる。

菅義偉首相は、50年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする目標を掲げている。実現には、社会構造の転換や技術開発などを積み重ね、一段の排出抑制努力が求められる。

バナー写真 : PIXTA

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