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子ども食堂、コロナ下で開催継続はわずか1割 : 資金・人手不足も深刻―NPOアンケート

社会

NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」(本部・東京)が2021年2月に実施したアンケート調査によると、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、食堂サービスを継続しているのは約1割にとどまった。多くは「弁当の配布」など、別の方法で活動を続けているが、資金・人手不足の深刻さも浮き彫りになった。

「むすびえ」によると、アンケートには全国33都道府県の334運営団体が回答。活動状況について「従来通り皆で一緒に食べる子ども食堂を開催している」が6.1%、「人数制限の導入や屋外開催などにより、従来と異なる形で子ども食堂を開催している」が5.8%と、食堂運営を中心に活動できている団体は、わずか1割にとどまった。

このほか、「弁当の配布(取りに来てもらう)」活動を行っている団体が23.3%。「(食堂と食材の配布、弁当配布など)複数の活動を行っている」が35.9%、「活動の休止・延期」を余儀なくされている団体が10%だった。

従来と同様の一同に会する居場所としての「子ども食堂」の再開時期については、343団体のうち50.7%が「予定が立っていない」と答えた。

「予定がたたない」と回答した割合は、前々回(2020年6月)が38.7%、前回(同年9月)が48.0%で、アンケートを重ねるたびに増加している。開催できない最大の理由については、「感染防止の対応が難しいため」との回答が55.4%と、今回過半数を占めた。

子ども食堂は地域住民による任意団体やNPO法人、個人など主に運営。開催場所は公的施設、民家、飲食店、空き店舗など多岐にわたる。

「子ども食堂での困りごと」(複数回答可)についての回答は、「感染拡大の不安・感染防止の対応」が56%と最も多く、次いで「必要な人(貧困家庭など)に支援を届けること」(51.9%)、「運営資金の不足」(42.0%)、「運営スタッフの不足」(24.2%)などが続いた。

「むすびえ」本部は、「密になる状態を避けるため、どうしても集う場を作りにくくなっている。感染リスクが高いとされるボランティアの高齢者らと子どもとの直接の交流も、今は難しい。厳しい状況は続くが、子どもの居場所は絶対に必要だ」と指摘。今後は自治体や自治会と協力して、公民館などの場所を確保する努力を継続するとともに、運営団体支援の一環として感染防止対策について説明する動画の制作を計画しているという。

バナー写真:「まいにち子ども食堂高島平」で夕食を作るボランティアら=2020年2月27日、東京都板橋区(時事)

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