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シングルマザーに積極的な支援を : こころの不調抱え、相談できる相手もない―成育医療研究センター調査

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ただでさえ苦労の多い子育て。手を貸してくれる人もなく、相談相手もいない心細さを抱えるシングルマザーが少なくない。

国立成育医療研究センターの研究グループが、全国の5歳以下の子どもがいる1万9139世帯の母親の健康状態を、「2人親」「シングルマザー」、それぞれ核家族(親、子のみ)か三世代同居(祖父母、親、子の同居)かに分けて分析した。

うつ病や不安障害など精神疾患をスクリーニングする「K6」と呼ばれる尺度を用いて分析した結果、こころの不調の割合は、1人で子育てするシングルマザーの群では11%で、親と同居しているシングルマザーや、2人親世帯の母親と比べて高い傾向があった。

現在の健康状況について、「あまりよくない」「よくない」と答えた割合も、1人で子育てするシングルマザーは16%とそれ以外の群の約2倍だった。

さらに、「日常生活で悩みやストレスを抱えている」と答えた人のうち、「相談相手がいない」割合も、親との同居がないシングルマザーが突出している。

1人で子育てするシングルマザーは、喫煙や飲酒が習慣化している割合高く、睡眠については5時間未満の割合が高く、7時間以上の割合が低いなど寝不足の傾向も強い。

研究チームでは、「こころの不調を抱え、相談する相手もいない社会から孤立した状態で子育てするシングルマザーにさらなる自助努力を求めることは現実的でない。行政が妊娠届等の自治体データを活用して積極的支援をする必要がある」と指摘している。

分析には、厚生労働省が実施している国民生活基礎調査の2016年データを用いた。調査対象とした1万9139 世帯の内訳は2人親世帯の核家族が80%、三世代同居15%、シングルマザー世帯の核家族3%、三世代同居2%だった。研究チームでは、今後、シングルファザーのこころの不調の状況についても解析する予定。

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