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日本のグローバル企業、6割近くが買収に積極姿勢-「コロナ後」にらみ

経済・ビジネス

国際的な監査法人・コンサルティンググループのEYが実施した調査で、グローバル展開する日本企業経営者の57%が企業や事業の買収に積極的な姿勢を示した。新型コロナウイルス感染拡大で経営環境が激変する中、M&A(合併・買収)で市場や人材、技術を確保し、勝ち残りを目指す動きが活発になりそうだ。

背景には、新型コロナウイルス感染拡大で経営環境が激変する中、M&A(合併・買収)で市場や人材、技術を確保し、勝ち残りを目指す狙いがある。逆に外資ファンドが東芝に買収提案するといった動きも出てきた。

EYは3月、52カ国約2400人のグローバル企業のトップや最高財務責任者といった経営幹部に対する事業戦略調査結果を公表した。日本国内では約100人が回答したという。

調査では、日本の経営層の「今後1年間に事業を買収する計画がある」との回答は57%に達し、過去11年(2010年~20年)の調査結果の平均値(46%)を上回った。多くの企業がコロナ危機後の需要の拡大などを見込み、M&Aを検討していることがうかがえる。M&Aを検討していることがうかがえる。

業種別では医薬・医療産業、金融、テクノロジー、先端分野の製造業、自動車などが買収に意欲を見せた。「買収計画がある」と答えた経営層のうち、88%は外国企業とのM&Aを検討している。

コロナ危機では国際航空や宿泊などが打撃を受けている一方、「巣ごもり」需要に合うデジタルサービスが急激に普及。米欧中心にワクチンの接種も進む。こうした状況を踏まえ、国内経営層の62%が「21~22年に自社の収益がコロナ危機以前の水準に回復する」と予想した。

また、コロナ危機とともに、ワクチンや人工知能(AI)、先端技術の開発をめぐる米国と中国の駆け引きは激化した。国内経営層の88%が「地政学上の問題で戦略的投資計画や事業を見直した」と回答している。

分析に当たったEYストラテジー・アンド・コンサルティングの梅村秀和代表取締役は「多くのビジネスリーダーにとって、コロナ危機は大きな脅威となった。企業は、業績の水準を回復させることだけではなく、自社の将来を持続可能なものにするよう必要な投資を計画している」と指摘している。

バナー写真:外資ファンドから買収提案のあった東芝本社が入るビル(共同)

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