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国民負担率9年連続で40%超 : 高齢化で社会保障負担じわじわ増加

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国民負担率44.3%を単純化すると、「100万円の所得のうち、44万3000円は税金と社会保険料として納めて下さい。あなたが自由に使えるお金は55万7000円です」ということになる。2022年度から団塊の世代が後期高齢者となり、社会保障費用はさらに膨らむ可能性が高い。

「国民負担率」は、国民所得に占める税金と健康保険や年金などの社会保障負担の割合を示すもの。国民負担率が高くなるほど、自由に使えるお金が少なくなるが、だからと言って、負担率が低ければ低いほどいいとは一概には言えない。

米国の2018年の国民負担率は31.8%で、日本よりも10%以上低い。米国の公的保険がカバーするのは高齢者や身体障害者に限られており、社会保障負担が小さいためだ。日本は負担率は高いが、病気やけがをした際、誰もが病院にかかりやすい仕組みになっている。また、高福祉社会である欧州諸国は、日本よりも高い負担率となっている国が多い。

2021年度の国民負担率の見通しは前年度比1.8ポイント低下の44.3%で、2013年度から9年連続の40%超。1970年の負担率24.3%からは20ポイントも上昇することになる。その内訳は、税負担6.5ポイント、社会保障負担13.5ポイントで、社会の高齢化につれて保険料などが上昇していることを如実に表している。

財政赤字を加味した21年度の潜在的国民負担率の見通しは56.5%で、前年度比10ポイント低下。20年度に新型コロナウイルス対応のための国債を大量増発して財政赤字が拡大したことの反動減だが、コロナ収束が見通せない中、21年度も補正予算編成を求める声も出ている。

25年度には、人口のボリュームゾーンである団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、医療や介護の需要がさらに高まることが予想される。税や社会保障の負担増以上に、分母である国民所得が増えれば負担率が上がる心配はないが…そんなお気楽な解決策が待っているとは思えない。

バナー画像 :PIXTA

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