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暴力団勢力、過去最少の2万5900人―2020年末:この1年で2300人減

社会

1991年には9万人いた日本の暴力団勢力は、経済の低迷や警察の取り締まりの強化、地域の暴力団排除運動の広がりなどで、この30年で3分の1以下に衰退した。

警察庁のまとめによると、全国の暴力団構成員や準構成員らの2020年末時点の人数は、前年比2300人減の2万5900人。16年連続で減少し、統計が残る1958年以降では過去最少となった。

構成員と準構成員らを合わせた主要な団体勢力別では、最大組織の六代目山口組が前年比400人減の8200人で全体の31.7%を占め、次いで、住吉会が同300人減の4200人(構成比16.2%)、稲川会が100人減の3300人(12.7%)、15年に山口組から分裂した神戸山口組が500人減の2500人(9.7%)、神戸山口組から分裂した絆会が120人減の490人(1.9%)となっている。これら5団体を合わせると1万8600人で、全体の71.8%を占めた。

2020年末の暴力団主要団体の勢力

団体名 構成員 準構成員
六代目山口組 3800 4400
神戸山口組 1200 1300
絆会(旧・任侠山口組) 230 260
住吉会 2600 1600
稲川会 2000 1300

警察庁のデータをもとに編集部作成

全般的に暴力団の勢力は近年、弱まってはいるものの、とりわけ分裂以降の山口組と神戸山口組の対立抗争は収束しておらず、両組の抗争に起因するとみられる事件は20年中に9件発生。この種の事件は、両組が対立抗争状態にあると警察庁が判断した2016年から3月7日から20年末にかけて計82件発生し、うち67件で259人の暴力団構成員らが摘発された。

20年5月には岡山市の路上で山口組系組織の幹部が神戸山口組系組織の幹部に拳銃を発射して負傷させ、11月には兵庫県尼崎市内の路上で山口組系組織の幹部らが神戸山口組幹部らに拳銃を発射して負傷させるなど、拳銃や刃物を使用した抗争関連の凶悪事件が全国各地で相次いだ。

20年中に摘発された暴力団勢力の人数は、前年比1092人減の1万3189人。最も多かったのは覚せい剤取締法違反の3510人で、以下、傷害1629人、詐欺1249人、窃盗1157人、暴行829人などが続き、殺人は97人だった。

バナー写真:「特定抗争指定暴力団」に指定する標章を、山口組総本部に貼る兵庫県警の捜査員=2020年1月7日、神戸市灘区(時事)

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