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原発高齢化時代 : 再稼働しないまま “定年” 時期迫るが…

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日本の最初の商用原発である東海原子力発電所が稼働したのが1966年。その後、日本が工業国として発展を遂げた70年代から90年代前半にかけて次々と建設された原発に、運転開始から40年の “定年” 時期が迫りつつある。

東日本大震災の福島第1原発事故をきっかけに、原子炉等規制法が2012年6月に改正され(施行は13年7月)、原発の運転期間は原則として使用前検査に合格した日から40年と定められた。原子力規制委員会の審査に合格すれば、特例として最長で60年までの延長が認められる。

2011年3月時点で、国内で稼働していた原発は54基。震災の影響を受けなかった地域の原発も定期検査入りを契機に順次、運転を停止し、12年5月に国内の原発が稼働ゼロとなった。その後、21基の廃炉が決まった。

残る33基の原発のうち、これまでに再稼働した原発は9基にとどまる。24基は発電をしないまま10歳年をとり、このうち4基は「原則」である運転開始から40年を超えた。さらに、1980年代から90年代前半に運転を開始した原則定年が迫る高齢原発が多く、再稼働できないまま残された時間は着実に減少していく。

菅義偉首相は4月22日、米国主催の気候変動サミット(オンライン開催)で、2030年度の温室効果ガス削減目標を現行の「13年度比26%減」から「同46%減」に大幅に引き上げる方針を表明した。目標達成には、再生可能エネルギーの活用に加えて、原発の再稼働も不可欠とみられ、梶山弘志経産相は「達成に向けて将来にわたり原子力を持続的に活用していく。現在6%の原子力比率を2割程度まで高める」との考えを示している。

福井県の杉本達治知事は4月28日、高浜1・2号機、美浜3号機の原発3基の再稼働への同意を表明した。東京電力福島第1原発事故後、原則40年とされた運転期間を超える原発の再稼働に地元が同意したのは初めて。温室効果ガスの削減目標達成のため、原発の定年延長が増えるのだろうか。

バナー : 関西電力高浜原子力発電所(PIXTA)

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