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日本の国際研究交流:2019年度に受け入れた中長期の外国人研究者は1万3000人余り 派遣数はその3分の1

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30日を超えて日本で研究を続ける外国人研究者は、2019年度で1万3000人余り。日本人研究者の外国派遣は30日未満の短期がほとんどで、中長期の国際交流は大幅な「入超」が続いている。

文部科学省が公表した2019年度版「国際研究交流の概況」によると、同年度に日本から海外に派遣された中・長期派遣研究者の数は4178人(前年度比113人減)だったのに対し、日本が海外から受け入れた中・長期受入研究者の数はその3倍超の1万3280人(同108人増)となった。派遣、受入人数ともに近年は大きな変化はなく、受け入れと派遣に3倍程度の開きがある状態が続いている。

同調査は、日本と諸外国との研究交流状況を把握することなどを目的に毎年行っている。派遣・受け入れ期間は30日以内を短期とし、30日を超えるものを中・長期としている。調査対象は国公私立大学、高専、独立行政法人など計908機関で、うち836機関から有効回答を得た。

短期、中・長期を含めた総数は、派遣が前年度比1万8554人減の15万8604人、受け入れが同4646人減の3万4678人となった。日本は自国の研究者を外国に派遣する場合、圧倒的に短期の方が多いことが分かる。総数が大きく減少した要因として、同省は19年度後半(20年初頭)に顕著になった新型コロナウイルスの感染拡大の影響を挙げている。

19年度の中・長期研究者数を地域別にみると、日本からの派遣先は欧州が最多で、次いで北米、アジアの順。海外からの受入元はアジアが最も多く、次いで欧州、北米の順となった。国別では、派遣先は多い方から米国、英国、ドイツなどの順となり、受入元は中国、米国、韓国などの順となった。

中・長期の受け入れ研究者、派遣研究者数の多い国・地域(2019年度)

日本に受け入れた研究者 日本から派遣された研究者
1 中国(3306人、24.9%) 米国(1084人、25.9%)
2 米国(1330人、10.0%) 英国(406人、9.7%)
3 韓国(993人、7.5%) ドイツ(376人、9.0%)
4 インド(572人、4.3%) フランス(223人、5.3%)
5 英国(548人、4.1%) オーストラリア(159人、3.8%)
6 フランス(544人、4.1%) カナダ(149人、3.6%)
7 ドイツ(437人、3.3%) スイス(145人、3.5%)
8 台湾(355人、2.7%) 中国(120人、2.9%)
9 ベトナム(340人、2.6%) イタリア(102人、2.4%)
10 インドネシア(313人、2.4%) スペイン(84人、2.0%)
11 タイ(306人、2.3%) タイ(73人、1.7%)
12 エジプト(289人、2.2%) オランダ(72人、1.7%)
13 オーストラリア(226人、1.7%) 韓国(66人、1.6%)
14 カナダ(220人、1.7%) オーストリア(53人、1.3%)
15 イタリア(202人、1.5%) ベトナム(49人、1.2%)
16 バングラデシュ(189人、1.4%) インドネシア(47人、1.1%)
17 スペイン(164人、1.2%) 台湾(44人、1.1%)
18 ロシア(147人、1.1%) シンガポール(43人、1.0%)
19 マレーシア(144人、1.1%) フィリピン41人(1.0%)
20 フィリピン(115人、0.9%) インド(39人、0.9%)

文部科学省調べ(数字は人数と構成比)

バナー写真:PIXTA

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