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トヨタグループ下請け、ソフトウエア産業が最大勢力 : 20年度業績はコロナ禍で7割強が減収

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行く先を登録すればナビが道案内をしてくれ、運転支援システムで快適・安全にドライブ。目的地に着くと車庫入れのガイドまでしてくれる。気がつけば、車はメカになっていた。裾野の広い自動車産業も変化しつつある。

帝国データバンクの調査で、トヨタ自動車グループ(主要関連会社・子会社計15社)の下請企業は4万1427社だった。直接的に取引する一次下請は6380社、一次下請けを通じて間接的に取引する二次下請が3万5047社。同様の調査は2014年の調査開始以来4回目で、4万社を超えたのは初めて。

下請け企業を業種細分類別でみると、一次・二次下請けとも、2014年時点では社数としては2位だった「ソフト受託開発」が、2021年調査では首位となっている。システム制御に不可欠なソフトウエアの開発や、人口知能(AI)を使った自動運転技術や地図データ・ナビ画面の開発、各種実験データの解析など、ソフトウエア関連業種を中心にサービス業の取引企業が増加しやすい要因となっている。

帝国データバンクでは、電気自動車や燃料電池車など多様なパワーユニットの開発や脱炭素化に向けた動きで、従来は関わりが乏しかったソフトウエアや素材メーカーにもビジネスチャンスが広がり、トヨタ自動車を頂点とした「ケイレツ」による下請け企業構造にも大きな変化が起きているとしている。

一次下請け先の業種別社数

2014年 (社数) 2021年 (社数)
自動車部品製造 221 ソフト受託開発 296
ソフト受託開発 195 自動車部品製造 261
金型・同部品等製造 183 金型・同部品等製造 225
産業用電気機器卸 166 産業用電気機器卸 200
労働者派遣業 105 労働者派遣業 186

出所 : 帝国データバンク

二次下請け先の業種別社数

2014年 (社数) 2021年 (社数)
産業用電気機器卸 964 ソフト受託開発 1525
ソフト受託開発 749 産業用電気機器卸 1201
鉄鋼・同加工品卸 747 金型・同部品等製造 988
機械工具卸 696 器械同部品製造修理 912
金型・同部品等製造 665 金属プレス製品製造 875

出所 : 帝国データバンク

トヨタ自動車グループの下請け企業の2020年度通期業績(調査対象約2万5000社)は、「減収」が73.2%の1万8718社に上った。19年度は増収と減収が各40%前後できっ抗していたが、20年度は新型コロナウイルス感染症の世界的な流行で自動車需要が急速に落ち込んだことが影響した。その後、新車販売市場は回復に向かったが、期初の売上減少を取り戻すには至らなかった。

バナー写真 : PIXTA

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