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売り上げ減って膨らむ借金、新型コロナで中小企業の3社に1社が過剰債務

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新型コロナウイルスの感染拡大もあって、「借金が過剰になった」と感じている中小企業は、3社に1社の割合に上ることが民間調査会社の調べで分かった。特に飲食業は客足が遠のいたり、時短営業や休業を強いられたりして、売り上げが大きく減少。資金繰りのため借り入れを増やさざるを得なくなった。

信用調査の東京商工リサーチの調査によると、資本金1億円未満の中小企業のうち「債務の過剰感がある」と回答した割合は34.2%に達し、大企業の15.4%を大きく上回った。過剰債務を訴えた中小企業の6割(20.29ポイント)は、「コロナ後」にそういう状態になったとしている。調査は6月1日~9日に行われ、有効回答は9492社。

業種別で過剰債務の比率が最も高かったのは飲食業。次いで宿泊業、その他生活関連サービス業、道路旅客運送業などとなっており、新型コロナの感染拡大で人流停滞の影響を直接受けた業界が上位を占めた。

中小企業の売り上げが大きく減る中、政府や自治体、金融機関の資金繰り支援のおかげで1-5月の企業倒産(負債1000万円以上)は2503件と、前年同期比22.2%減少した。しかし、飲食業を中心にいまだ業績は回復しておらず、過剰債務をもたらす結果に陥っている。

日本銀行の金融システムレポート(2021年4月号)は、利子補給による「実質無利子融資」といった金融支援策は22年度ごろまで企業全体の債務不履行(デフォルト)抑制に大きな効果があると指摘する。ただ、飲食業のような対面型サービス業では「需要の回復が緩やかであることが想定され、デフォルト率が押し上げられる」可能性があるとみて、警戒を促している。

バナー写真:人影もまばらな東京・神田駅周辺の飲食店街を歩く人たち(共同)

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