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日本のアフガニスタン援助:20年で7500億円規模

政治・外交

イスラム主義勢力タリバンが政権を崩壊させ、情勢が不安定化するアフガニスタン。外務省によると、日本はこの20年間で69億米ドル(1ドル=110円換算で7590億円)の援助を行い、主要な支援国として復興プロセスを支えてきた。

この20年間の援助額の推移は以下のグラフの通り。2010年から13年までの4年間が、年8億ドル前後の水準で突出している。当時は2009年の米軍大幅増派、10年の国際治安支援部隊(ISAF)増員があり、12年の「アフガニスタンに関する東京会合」を経て14年のISAF終了に至る時期で、国際社会はアフガニスタン政府が独力で治安維持に当たれるよう、体制整備に注力していた。

日本のアフガニスタン支援に関わる主な動き

2001年9月 米中枢同時テロ発生。10月に米国がカブールなどの空爆開始
11月 「対テロ戦争」の一環で海上自衛隊の艦船がインド洋に派遣
12月 ボン合意。タリバン政権が崩壊。暫定行政機構が発足し、日本も承認
2002年1月 アフガニスタン復興支援国際会議を東京で開催
3月 国連アフガニスタン支援団(UNAMA)が発足
6月 緊急ロヤ・ジルガ(国民大会議)を経て移行政権が発足
2004年10月 大統領選でカルザイ氏が当選し、新政権が発足
2009年 第2回の大統領選挙でカルザイ氏再選。米軍が3万人以上を増派
2010年 国際治安支援部隊(ISAF)が一時13万人に増員、一部で政府への治安権限移譲始まる
2011年5月 米軍がパキスタンでビンラディン容疑者を殺害
2012年7月 「アフガニスタンに関する東京会合」を開催
2014年 ガニ元財務相が大統領に就任。年末でISAF終了し、政府が治安維持責任を負う体制に
2019年12月 現地で人道支援活動を続けていた医師、中村哲さんが銃撃され死亡

ニッポンドットコム編集部作成

最も援助額が多かったのは、2012年の8億7358万ドル。内訳をみると、無償の資金協力が7億8996万ドルで、このうち8割にあたる6億4598万ドルが国際機関を通じて贈与された。このほか日本独自の技術協力が8362万ドルだった。円借款など政府貸付は、20年間を通じてゼロだった。

日本の援助は、アフガニスタンでどのように使われたのか。JICA(国際協力機構)の「ODA見える化サイト」には、61件のプロジェクトが記されている。

無償資金協力では学校建設、感染症病院建設、空港や幹線道路、かんがい設備など社会インフラ整備・建設などに援助を行っている。平和構築・治安分野では、警察無線や警察用車両整備などの項目もある。技術協力は教育(教師の育成、識字教育強化など)、保健医療(都市部の保健システム構築、結核対策など)、水資源・防災、運輸交通、農村開発など、幅広い分野で援助が行われている。

バナー写真:2021年8月16日、カブールの空港で、旅客機の上に上がったアフガニスタンの人々(AFP=時事)

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