Japan Data

中国の対日印象悪化:「良くない」6割超に―2021年夏実施の合同世論調査

政治・外交

中国国民の日本に対する意識が、この1年で急激に悪化していることが日中の共同世論調査で明らかになった。米中対立の激化や、歴史問題が原因とみられる。

日本の民間非営利団体「言論NPO」と中国国際出版集団はこのほど、2021年8月から9月にかけて両国で実施した共同世論調査の結果を発表した。それによると、日本に「良くない」印象を持つと答えた中国人は前年比13.2ポイント増の66.1%となり、尖閣諸島問題で対立が深まった13年の調査以来8年ぶりに悪化した。中国に「良くない」印象を持つと答えた日本人は、同1.2ポイント増の90.9%で、2年連続の悪化となった。

日本に良い印象を持つと答えた中国人は13.2ポイント減って32%、中国に良い印象を持つと答えた日本人は1ポイント減って9%となった。

同調査は05年から毎年行われており、今回で17回目。調査対象は18歳以上の日本人男女1000人と、中国人約1500人。

中国人が日本人に良くない印象を持つ理由は、「侵略した歴史をきちんと謝罪し反省していないから」(77.5%)が最も多く、前回の74.1%から3.4ポイント増えた。このほか、「一部の政治家の言動が不適切だから」との回答も、前回の12.3%から急増して21%となった。

中国国民の日本に対する印象が良くない主な理由(%)

2021年 2020年
侵略した歴史をきちんと謝罪し反省していないから 77.5 74.1
魚釣島及び周辺諸島を「国有化」し、対立を引き起こしたから 58.7 53.3
米国と連携して中国を包囲しようとしているから 23.0 19.7
一部の政治家の言動が不適切だから 21.0 12.3
日本のメディアが中国の脅威を喧伝するから 11.8 16.6
日本が一つの中国の原則に消極的態度を示しているから 11.2 6.9

(「言論NPO」・中国国際出版集団の共同調査より)

日本国民の中国に対する印象が良くない主な理由(%)

2021年 2020年
尖閣諸島周辺の日本領海や領空をたびたび侵犯しているから 58.7 57.4
南シナ海などでとっている行動が強引で違和感を覚えるから 49.2 47.3
国際的なルールと異なる行動をするから 49.1 49.2
共産党の一党支配という政治体制に違和感を覚えるから 44.4 47.0
軍事力の増強や、不透明さが目に付くから 37.7 36.2

(「言論NPO」・中国国際出版集団の共同調査より)

中国人が日本に良い印象を持つ理由は、「日本製品の質は高い」(52.6%)、「礼儀があり、マナーを重んじ、民度が高い」(49.4%)などが多かった。日本人が中国に良い印象を持つ理由は、「中国の観光地や雄大な自然」(31.1%)、「中国古来の文化や歴史」(30%)、「中華料理や最近の音楽や文学」(30%)などが多かった。

また、「日中関係の発展を妨げるもの」についての問いでは、「領土をめぐる対立」との回答が、日本人で56.7%、中国人で62.4%と最も高い割合を占めた。日本人では「日中両国政府の間に政治的信頼関係がないこと」(39.6%)、「両国民間に信頼関係ができていないこと」(33%)、中国人では「中日両政府の間に信頼関係ができていないこと」(29.3%)といった回答も高い割合を占めた。

バナー写真:PIXTA

中国 世論調査