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国内のフェアトレードが2割増、高まる関心の背景にコロナ禍も

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途上国の生産者の就労環境などに配慮した「フェアトレード」の日本での推定市場が2021年は157億8000万円となり、前年比で20%増加した。SDGs(持続可能な開発目標)、ESG(環境、社会、企業統治)に対する消費者の関心が徐々に高まってきたほか、コロナ禍で家庭向けのフェアトレード製品の売り上げが伸びた。

データは認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン(FLJ、東京)が算出した。フェアトレードとは「公正な貿易」の意味。背景にあるのは、グローバル化と市場経済の急速な進展だ。巨大な流通網、調達網が整い、先進国の消費者は手頃な値段で様々な品を楽しめるようになった半面、途上国の小規模生産者などが買い叩かれる事例も目立っている。

フェアトレードでは、生産者の生活水準の低下や児童労働、人権を無視した雇用、環境破壊を抑制するため、生産・流通の過程をチェックし、人と環境に配慮した取引を促す。FLJは「(生産者に対する)適正な価格の保証、プレミアムの支払いなどを通じ、SDGsの目標達成に寄与できている」と説明する。

20年度の国内推定市場は、家庭用コーヒー、チョコレート、綿製品、紅茶などのフェアトレード製品の売り上げが伸びた。コロナ禍で在宅勤務や「巣ごもり」が増える中、コーヒーなど嗜好(しこう)品で、多少割高であっても安心感のあるフェアトレード製品を買う動きが表れつつある。

イオングループや日本生活共同組合連合会など有力な小売り事業者がSDGs、ESG戦略の一環で、プライベートブランドでのフェアトレード製品の品揃えを拡充したことも追い風となった。FLJの認証に参加する企業や法人は21年に243社となり、前年の221社から1割増加した。

ただ、企業、消費者の関心の高さで先行する欧州とは開きが大きい。20年の推定市場規模はドイツが2374億円に達し、日本(131億円)の18倍だった。日本のフェアトレード普及には、認知度を高め、企業が積極的に該当製品を開発し、提供することが必要となる。

バナー写真:PIXTA

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