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ひとり親家庭、コロナで一層の苦境に―フードバンク利用者調査 : 年収200万円未満が過半数

社会 暮らし

新型コロナウイルスの感染拡大で、社会・経済は大きな痛手を負った。中でも、非正規雇用で働くひとり親家庭にはその影響が重くのしかかっている。フードバンク事業を展開するNPO法人の調査で、利用登録者の過半数が年収200万円未満で生活していることが分かった。

首都圏などでひとり親家庭への食品の無料配布事業を展開するNPO法人グッドネーバーズ・ジャパンが、利用登録者を対象とした年収等に関するアンケート調査を実施。

児童扶養手当など行政から支給される補助金や各種手当、同居家族の収入なども含めた2021年の年収が「200万円未満」の家庭が54%と過半数だった。コロナ禍前の2019年に実施した同様の調査と比べて7ポイント増加した。このうち、「100万円未満」と回答した人は23%で、前回調査から倍増以上となった。

利用登録者の56%はパートやアルバイトなどの非正規雇用で、シフト制の仕事で収入が安定しない上、新型コロナウイルス感染拡大で緊急事態宣言等が発出されていた期間は、シフトの削減や子どもの休校対応などで仕事が減り、収入が落ち込んだケースが多かったという。

「週6日の仕事、休みの日にも日雇いのバイトをしているが、生活費で消えて、子どもたちの大学進学の資金に回せない」「食べ盛りの男の子が3人いて、収入のほとんどが食品に消える」などの悲痛な声が寄せられたという。

利用登録者の就労収入は無収入が13%で、200万円未満までの合計が68%を占めた。「親子でコロナに感染し、1カ月のパート代が飛んでしまった」「コロナで子どもの学校が学級閉鎖になり、仕事を休んで給料が減った」など、コロナで一層の生活苦に追い込まれている実態が浮き彫りとなった。

調査は、グッドネーバーズ・ジャパンが実施する食料支援事業「グッドごはん」に利用登録する首都圏・近畿圏在住の3297人を対象に、4月中旬から約1カ月かけて無記名のアンケート方式で実施。594人からの有効回答を得た。

バナー写真 : PIXTA

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