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ふるさと納税:2021年度は過去最高の8302億円―自治体別トップは北海道紋別市の152億円

社会 経済・ビジネス

コロナ禍の巣ごもり需要でネット通販市場が盛況。その延長線なのだろうか、2021年度のふるさと納税の寄付額も過去最高を更新した。「故郷や応援したい自治体への寄付」の意識は薄く、いまやオトクなお取り寄せとして定着している。

総務省が発表した2021年度のふるさと納税の寄付額は前年度比23%増の8302億円と過去最高を更新。件数ベースでも同27%増の4777万件と最多。新型コロナ禍の「巣ごもり需要」の堅調さが寄与したとみられる。

ふるさと納税は都市と地方の税収格差を是正する目的で08年に始まった制度で、故郷や応援したい自治体に寄付をすると、大半の場合、寄付額から2000円を引いた額が所得税や住民税から控除される。その上、自治体から地元の特産品などを返礼品として受け取ることができ、「ちょっとした手続きでお得な買い物ができる仕組み」と認知されるようになった。

導入からしばらくの間は寄付総額100億円前後で推移したが、15年度に控除の上限の引き上げや申告手続きの簡素化などの制度改正があったことを契機に寄付額が急増。初年度の81億円から100倍以上の規模に成長した。

寄付額を自治体別にみると、トップは北海道紋別市(主な返礼品:ホタテ、カニ)の152億9700万円。以下、宮崎県都城市(豚肉、牛肉)、北海道根室市(ウニ、カニ)、同白糠町(いくら、サーモン)、大阪府泉佐野市(牛肉、タオル)と続いた。返礼品のラインナップに豪華な海産物やブランド肉が含まれている自治体が寄付額上位の常連となっており、進学や就職で都市に移り住んだ人が、故郷の財政にいくばくかでも貢献したいという本来の趣旨は薄れている。

一方、寄付した人の住民税控除額の規模も過去最高の5672億円となった。控除適用者数は740万人。自治体別では、横浜市の230億円を筆頭に、名古屋市、大阪市、川崎市、東京都世田谷区といった大都市が上位を占める。財源流出に見舞われる自治体からは制度の見直しを求める声も出ている。

ふるさと納税の受け入れと流出トップ10

受け入れ上位自治体 (億円) 流出上位自治体 (億円)
北海道紋別市 153.0 横浜市 230.1
宮崎県都城市 146.2 名古屋市 143.2
北海道根室市 146.1 大阪市 123.6
北海道白糠町 125.2 川崎市 102.9
大阪府泉佐野市 113.5 東京都世田谷区 84.0
宮崎県都農町 109.5 さいたま市 73.9
兵庫県洲本市 78.4 神戸市 70.0
福井県敦賀市 77.2 札幌市 66.4
山梨県富士吉田市 72.1 京都市 64.4
福岡県飯塚市 65.6 福岡市 62.6

出所 : 総務省

バナー写真:PIXTA

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