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食料自給率38%―小麦収穫増で小幅改善 : 穀物価格、輸送運賃の高騰で生産額ベースは過去最低

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スーパーの精肉コーナーの商品はほとんどが「国産」表示。しかし、国産の牛も豚も鶏も多くは「輸入」飼料を与えて生産しているため、「自給率」には算入されない。農業大国であるロシアによるウクライナ侵攻で穀物価格が高騰、畜産や酪農業にも大きな影響が出ている。化学肥料や、農業・漁業生産に不可欠な化石燃料も輸入に依存している。「経済力があるから輸入すればいい」がいつまで通用するかは分からない。

農林水産省のまとめで2021年度の日本の食料自給率はカロリーベースで38%だった。小麦や大豆の収穫量が増えたことなどから、過去最低を記録した前年度から1ポイント改善。コロナ禍で低迷していた外食需要の回復、コメ消費量の持ち直しも寄与した。ただ、政府が掲げる「30年度のカロリーベース自給率45%」の目標までの道のりは遠い。

生産額ベースの自給率はカロリーベースより高い傾向があるが、国際的な穀物価格や海上運賃の上昇で輸入単価が上昇しており、前年度より4ポイント低下して63%と過去最低を更新した。

「自給率」は、国内生産を厳密にとらえるため、輸入飼料による畜産物の生産分を除いて計算している。「国産率」は飼料自給率を反映せず、国内で育てている畜産物はすべて国産とみなす考え方。自給率と国産率の差は、外国産飼料への依存度を示している。

穀物輸出大国であるカナダ、豪州、米国の自給率はカロリーベースで100%を大きく上回る。価格の高い野菜・果実等の輸出が多いイタリアは生産額ベースの自給率で強みを発揮。日本はカロリー・生産額のいずれでも諸外国と比べて低い水準にとどまっている。

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