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概算医療費、過去最高44.2兆円 : 受診控え続くが、コロナ関連の検査費など膨らむ

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受診控えの影響が大きかった2020年度から一転し、21年度の概算医療費が過去最高を更新した。人口のボリュームゾーンである団塊の世代が後期高齢者入り、今後、医療費の増加ペースは速まるとみられる。

2021年度に医療機関に支払われた概算医療費は、前年度より2.0兆円(4.6%)増の44兆2000億円となり、過去最高を更新した。医療費の内訳は、「入院」が2.8%増の17兆6000億円、外来や往診など「入院外」は7.5%増の15兆3000億円。「調剤」は2.7%増、「歯科」4.8%増だった。

20年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響による受診控えで医療費が減少した。21年度も受診控えの傾向は継続しており、延べ患者数(受診延日数)は前年度と比べれば3.3%増えたが、19年度と比べれば5.5%減でコロナ禍が本格化する前の水準に達していない。高齢化や医療技術の高度化に加え、PCR検査など新型コロナウイルス関連が押し上げ要因となった。

国民一人あたりの医療費は前年度比1万7000円増の35万2000円。75歳未満が23万5000円だったのに対し、75歳以上では約4倍の93万9000円だった。

概算医療費は労災や全額自費などを除いた医療費の速報値で、約1年遅れて発表される医療費全体の確定値である「国民医療費」の98%に相当する。人口のボリュームゾーンである段階の世代が後期高齢者入りしたことや、医療技術の高度化により増加傾向にあり、今後も増え続けると予想されている。

バナー写真:PIXTA

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