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コロナ融資受けたけれど…息切れ倒産急増―帝国データ調べ : 2022年は384件

経済・ビジネス 社会

コロナ禍で経済活動が厳しく制限された間、実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」が中小企業の資金繰りを下支えした。現在、コロナによる行動制限はほとんどなくなったものの、一方で、業績の立て直しがままならず、コロナ融資を運転資金などで使い切った中小企業は多い。2023年3月に利払いを含めた本格的な返済開始を迎えるなか、資金繰りに行き詰まり、事業継続をあきらめる倒産が増えているという。

コロナ禍で中小企業を支援するため導入された実質無利子・無担保融資の「ゼロゼロ融資」を受けた後に倒産した企業の数が急増している。

帝国データバンクの調べで、いわゆる「コロナ融資」を受けた後に倒産した企業の数は、2021年は1カ月10件台で推移し、年間167件。22年3月以降は月間30件を超え、通年では前年の2.3倍増の384件となった。

実際の融資額が判明した約180社の1社あたりのコロナ融資借入額平均は約5900万円だった。当初は政府系金融機関からの借り入れが中心だったものの、2022年以降は銀行や信用金庫など民間金融機関から借り入れた企業の倒産が目立った。この結果、全体のコロナ融資累計損失総額は推計で約334億9588万円となり、国民1人あたり約280円の負担が発生している計算となるという。

コロナ融資後倒産 月別発生件数推移

2022年のコロナ融資後倒産で業種別で最も多かったのは建設業の85件で、前年の約3倍。卸売業76件、製造業65件が続いた。小売業58件のうち27件は飲食店だった。

コロナ融資後倒産業種別件数(2022年)

2022年8月の調査では、コロナ融資を受けた企業のうち23年以降に返済が始まる企業も約3割に上った。帝国データバンクは、「業績回復が遅れている中小・零細企業にとって返済負担が大きな重荷となり、“あきらめ” による倒産増が懸念される」と指摘している。

コロナ融資の返済開始時期

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