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刑法犯、20年ぶりに件数増加:コロナ行動制限の緩和が影響か

社会

警察庁が公表した2022年の犯罪情勢まとめ(暫定値)によると、刑法犯の認知件数は前年比5.9%増の60万1389件で、20年ぶりに前年を上回った。

刑法犯認知件数は2002年の285万件をピークに減少が続いていた。22年は街頭犯罪(路上強盗、ひったくり、自転車盗、暴行や傷害・恐喝のうち街頭で行われたものなど)の件数が前年比14.4%も増加。一方で、侵入犯罪(侵入強盗、侵入盗、住居侵入)は1.9%減少した。新型コロナウイルス対策の行動制限が緩和されたことが影響しているとみられる。

刑法犯認知件数

殺人、強盗、放火、強制性交や強制わいせつ、略取誘拐・人身売買などの「重要犯罪」は9536件で、前年より715件(8.1%)増加した。殺人は853件、強盗は1148件と、ほぼ横ばい。一方、強制性交など(1656件)、強制わいせつ(4708件)は2年連続で増加している。

重要犯罪の認知件数推移

特殊詐欺は20.8%増の1万7520件に上り、2年連続で増加。被害額は28.2%増の361億4000万円で、8年ぶりに増加に転じた。手口別では「還付金詐欺」が最も多く、「オレオレ詐欺」「架空料金請求詐欺」も比率が増加している。

サイバー攻撃を巡る犯罪では、企業などのパソコンのデータを暗号化し、解除と引き換えに金銭を要求する不正プログラム「ランサムウエア」の被害申告が57.5%増え、過去最多の230件に上った。インターネットバンキングに係る不正送金の発生は1131件、被害額15億2500万円で、いずれも3年ぶりに増加に転じた。

虐待の疑いで警察が児童相談所に通告した児童数(18歳未満)7.1%増の11万5730人、配偶者からの暴力(DV)事案の相談件数は1.7%増の8万4493件で、いずれも過去最多となった。

22年7月には、街頭演説中の安倍晋三元首相が銃撃を受け、殺害されるという重大事件が発生。10月に警察庁が実施したアンケート調査では、日本の治安が「よいと思う」と回答した人の割合は68.6%で、前年より7.3ポイント減少した。

「日本の治安はよいと思いますか」という問いに関する回答

バナー写真:安倍晋三元首相の銃撃事件で、弾痕とみられる穴が見つかった事件現場近くの立体駐車場の外壁を調べる警察官(右端)ら=2022年7月13日、奈良市(時事)

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