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東京23区のスタートアップ企業―7割が都心4区に集中―帝国データバンク調査

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政府は2022年を「スタートアップ創出元年」と銘打ち、骨太の方針などで新興企業の数を5年で10倍に増やす目標を立てるなど、足踏みする日本経済の起爆剤としてスタートアップ企業に期待をかける。帝国データバンクが東京23区のスタートアップについて分析した。

帝国データバンクが、ビジネスモデルの革新性、短期間での成長志向など独自の基準で抽出した東京23区内の設立10年以内のスタートアップ企業2549社を分析。その結果、7割が港・渋谷・千代田・中央の4区に集中していた。

「港区」が全体の22.6%で最も多く、幅広い業種が顔を並べている。若者の街としてにぎわう「渋谷区」22.1%は、エンタメ、ファッション、電子商取引(EC)など個人向けサービスを展開している企業が多い。さらに、「千代田区」(14.8%)は デジタルトランスフォーメーション(DX)、金融テクノロジー(FinTech)などのテック系企業、大手製薬会社の本社が集中する「中央区」(11.2%)はヘルスケア系企業の集積が目立ち、都心部の中でも地域色があったという。

事業分野別では、「DX」が12.2%で最も多く、「バイオ・ヘルスケア」8.2%、「くらし」8.2%、「エンタメ」5.7%、「マーケティング」5.5%、「EC」5.3%、「Fintech」4.6%などが続いた。成長の源泉としてITなどの新技術を用いる傾向が強いことから、テック系関連が目立つ。

東京23区の創業10年企業の分布

業績動向は2549社のうち約6割が直近決算で増収となった。特に設立3年目(2020年設立)においては、増収企業が88.9%を占め、設立までこぎ着けたビジネスモデルの強さが売り上げに直結している時期と見られる。

一方、損益に関しては全体64.3%の企業が赤字状態だった。本格稼働前となる設立1~2年目だけでなく、各年次において赤字が7割近くを占めている。帝国データバンクでは「急成長の準備のために目先の小さな利益にとらわれず初期投資に資金を投入するスタートアップ企業が多い」と分析している。

設立年別の業績動向

設立年別の損益

バナー写真 : PIXTA

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