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都市部鉄道の混雑率:2022年度は大きく上昇も、コロナ前との比較では“ゆったり”―国土交通省

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国土交通省がこのほど公表した調査結果によると、2022年度の三大都市圏の鉄道混雑率は5~15ポイント上昇。しかし、コロナ禍前よりはまだかなり低い水準で、通勤ラッシュは緩和している。

同省によると、朝のラッシュピーク時における平均混雑率は東京圏123%(前年より15ポイント増)、大阪圏109%(同5ポイント増)、名古屋圏118%(同8ポイント増)だった。コロナ禍で2020年度に大きく低下した後、21年度はほぼ横ばいで、3年ぶりに本格上昇に転じた。

下の図は、東京圏(主要31区間)の混雑率と輸送力の推移を示すグラフ。2000年前後までは乗客数に輸送力が追い付かず、混雑率は180%から200%に達していた。近年は160%台が続いてコロナ禍を迎えた。

東京圏主要区間の平均混雑率・輸送力の推移

120%というのは、定員乗車(座席につくか、つり革につかまるか、ドア付近の柱につかまることができる状態)の2割増しで、隣の乗客と体がふれあうことはほぼない水準だ。

下表に、三大都市圏で朝のラッシュがひどかった主な区間と、その混雑率の推移をまとめた。

主な混雑区間のラッシュ時混雑率の変化

東京圏

2019年度 2022年度
木場>門前仲町(東京メトロ東西線) 199 138
武蔵小杉>西大井(JR東・横須賀線) 195 124
錦糸町>両国(JR東・総武線) 194 127
池尻大橋>渋谷(東急田園都市線) 183 125
下落合>高田馬場(西武新宿線) 164 123

大阪圏

2019年度 2022年度
神崎川>十三(阪急神戸線) 149 134
梅田>淀屋橋(地下鉄御堂筋線) 148 123
三国>十三(阪急宝塚線) 146 118

名古屋圏

2019年度 2022年度
神宮前>金山(名鉄本線(東)) 149 132
栄生>名鉄名古屋(名鉄本線(西)) 147 130

国土交通省まとめ

東京圏ではコロナ禍以前、混雑率200%(体が触れ合い相当圧迫感があるが、週刊誌程度ならなんとか読める水準)に近い路線もあったが、22年度はいずれも大幅に低下している。

公表データで混雑率のワースト1位は日暮里・舎人ライナー(東京都新交通システム)の赤土小学校前~西日暮里間で155%。次いで西日本鉄道貝塚線の名島~貝塚間154%、JR埼京線の板橋~池袋間149%など。設備の制約などで輸送量増強が難しい路線では、混雑率が高止まりするケースもある。

バナー写真:PIXTA

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