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ふるさと納税、過去最高の9654億円―22年度 : 受入トップは宮崎県都城市195億円、流出は横浜市272億円

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2022年度のふるさと納税の寄付額は9654億円と過去最高を更新した。「故郷や応援したい自治体への寄付」の意識は薄く、いまやオトクなお取り寄せとして定着している。一次産業以外にめぼしい産業がなく人口減に苦しむ自治体にとっては干天の慈雨。しかし、都市部の自治体にとっては、税収が逃げていく悪魔の制度?

総務省が発表した2022年度のふるさと納税の寄付額は前年では16%増の9654億と3年連続で過去最高を更新した。件数ベースでも同17%増の5184万件と最多。

ふるさと納税の受入額と件数の推移

ふるさと納税は都市と地方の税収格差を是正する目的で08年度に始まった。故郷や応援したい自治体に寄付をすると、寄付額から2000円を引いた額が所得税や住民税から控除され、自治体からは特産品などを返礼品として受け取ることができることから、「お得なお買い物」感覚で浸透。新型コロナウイルスの感染拡大による、「巣ごもり需要」で利用がさらに広がった。

寄付先として人気の自治体は、宮崎牛やいも焼酎などの返礼品をそろえる「宮崎県都城市」が受入総額195億9300万円でトップ。「北海道紋別市」194億3300万円(カニ、イクラ等)、「北海道根室市」176億1300万円(ホタテ、イクラ等)が続いた。

一方、ふるさと納税制度を利用した人が多い自治体ほど、住民税控除による税収「流出」の痛手を負うことになる。市区町村別で流出の断トツトップは「横浜市」の272億4200万円。以下、「名古屋市」159億2600万円、「大阪市」148億5300万円、「川崎市」121億1500万円、「東京都世田谷区」98億2300万円と政令市や東京都区部が並ぶ。人口が多く、企業も多い都市部は確かに税収は多いが、住民サービスのニーズも多く、ふるさと納税による財源流出に恨み節も出ている。

ふるさと納税 流出&受け入れトップ10

バナー写真:PIXTA

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