
奨学金=教育ローン? 8割は返済義務あり : 学生の7割は「自分が返す」覚悟
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教育における格差解消が急がれる中で大きな手助けになると期待されるのが「奨学金」。英語の「スカラーシップ / scholarship」の訳語として定着したとされるが、日本では貸与型が主流。利用した場合、学生の7割近くは「自分が返す」と覚悟を決めているようだ。
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国のお金による「奨学金」は、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が事業を担っている。2023年度の事業予算は1兆1508億円。このうち給付型は2601億円(22.6%)で、返済の義務のある貸与型の奨学金は無利子、有利子合わせて8907億円と、全体の8割近くを占める。
SMBCコンシューマーファイナンス実施した「10代の金銭感覚についての意識調査」では、「奨学金を利用した場合、返済するのは誰の役割か?」との問いに、大学生等(浪人生、専門学校生含む)は69.1%、高校生の61.7%が「自分」と答えており、「親のスネかじり」は少数派だ。
給付型奨学金の制度ができたのが2017年とまだ新しいこともあり、「奨学金は返すべきもの」という意識が浸透しているのかもしれない。
とはいえ「自分で返す」のは決して楽なことではない。JASSOのデータでは2022年3月に貸与が終了した奨学生の1人当たりの平均貸与総額は、無利子で216万円、有利子で337万円。返すのが困難になっている人(3カ月以上の延滞者)は2021年度で12万8000人いた。減ってきているとはいえ見過ごせない数字である。
17年度にスタートした返済義務のない給付型の奨学金は住民税非課税世帯とそれに準じる世帯が対象で低所得世帯向けの制度だった。2024年度からは中間層の子ども3人以上の世帯などへの支援を拡大する。対象となる年収上限を現行の約380万円から600万円程度に引き上げる。新たな対象は20万人に上る見込み。
バナー写真 : PIXTA