Japan Data

派遣の正社員化ハードル下がる―マイナビ調査 : 職場環境・実務を知っていることが強みに

経済・ビジネス 仕事・労働 社会

「派遣」と「正社員」の格差は非婚化や少子化にもつながっているとされる根深い問題だが、マイナビの「派遣社員の意識・就労実態調査」によると、企業は派遣社員の正社員転換のハードルを下げている傾向が見られるという。

調査は派遣社員として勤務する20~59歳の男女を対象にし、1400人から回答を得た。同じ調査は2019年から実施していて今回で5回目。

勤務する派遣先や派遣元に対して⾃ら「正社員化を申し出た」ことがある人は11.6%。2022年比では1.1ポイント、21年比では7.7ポイント増えた。このうち正社員化されたのは54.9%で、22年比では5.4ポイント増、21年比では29.3ポイントも増えていた。

また、派遣先や派遣元から「正社員化の誘いを受けた」ことがあるのは26.4%で、こちらは22年比0.1ポイント増、21年比0.9ポイント減とあまり変化はなかったが、正社員化された割合は24.1%で22年比1.7ポイント増、21年比3.2ポイント増と伸び続けている。

派遣就業先での正社員転換

マイナビでは「企業の人材需要は増えている⼀⽅、経験者の採⽤は苦戦している。職場環境や実務内容をよく知っている派遣社員の正社員転換のハードルを下げていることが考えられる」と分析している。

同⼀の派遣先における初回契約時からの昇給額を算出したところ、平均は69円となった。電気代やガス代など⽣活コストが上がるなか、昇給額の22年⽐は14円にとどまっている。

職種別では「電気・IT・エンジニア」が122円と最も⾼く、次いで「テレマーケティング」が93円となった。時給額については現実と理想のギャップが開いているようだ。現在の時給額と理想の時給額との差は全体で204円あり、22年よりギャップが8円拡大した。職種別では「電気・IT・エンジニア」で319円となり、最もギャップが大きかった。業務のDX化などによって派遣市場においても専⾨スキルを持つ⼈材が不⾜しており、⼈材定着の観点からも、昇給などによる賃⾦待遇の向上が求められるという。

派遣先での昇給額と理想時給のギャップ

バナー写真 : PIXTA

労働・雇用行政 雇用 非正規雇用 正社員