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読書離れ深刻 : ベネッセ・東大の共同調査で子どもの半数が読書時間0分

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読書の秋。ベネッセと東大の共同調査で、約半数の子どもの平日の読書時間0分だった。ゲームやスマートフォンなどデジタル機器の誘惑と戦うのは子どもにとっては苦行。しかし、それ以前に、大人が読書から遠ざかっていることも影響しているのかも。

ベネッセ総合研究所が東京大学社会科学研究所と共同で実施している「子どもの生活と学びに関する親子調査」で、子どもの約半分の読書時間が0分であることが分かった。

調査は2015年から2022年までの計8回、約2万組の調査モニターを対象に実施。同一の親子を継続して追跡する形で実施した。2022年のデータによると、49.0%の子どもが平日に読書を「しない=0分」と回答。性別では男子の方が、学校段階別では学年が上がるほど0分の割合が多い。

1日の読書時間(全体/性別/学校段階別2022年)

全体の平均読書時間(1日当たり)の移り変わりを見ると、2015年は18.2分だったのが2022年には15.2分に3.0分減っていた。こうした読書離れを嘆く論調はよく目にするが、では、読書の効果とは一体、どんなものなのだろうか。子ども自身の回答からは、読書時間が長い子どもは理解力や思考力、表現力について「得意だ」と自己評価する傾向があることが分かった。

読書量別の得意(2022年)

こうした結果を見ると、親心としては自分の子どもに読書好きになってもらいたいところ。調査を分析したところ、蔵書数が多い家庭の子どもや、本を読む大切さを伝えている保護者の子どもほど読書時間が長いことが明らかになった。

1日の読書時間(家の蔵書数別  2019年)

1日の読書時間(読書の大切さを伝えているかどうか 2021年)

また、同じ子どもを7年間追跡した結果では、小学校入学前に読み聞かせをたくさん受けていたグループは、そうでないグループと比べて、中学生までずっと読書時間が長いという結果が得られた。さらに、早い段階で読書習慣を身につけた子どもは、その後も長い読書時間を保つ傾向があることも分かった。こうしたことから、調査では「読書時間を増やすには家庭の環境や保護者の働きかけが重要だ」と結論付けている。

バナー写真:PIXTA

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