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タクシー会社の7割で10年前より人手減少 : ライドシェア議論には警戒感

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全国のタクシー運転手は8月末時点で約23万人。コロナ禍の収益環境悪化で離職者が相次ぎ、2019年3月末から約2割減少した。社会活動が正常化したことで需要が急回復、観光地などでは「タクシーがつかまらない」との声が上がっている。

コロナ禍が収束し、移動制限の緩和に伴う観光やビジネスの移動需要が急速に高まったことで、タクシーのドライバー不足が深刻化している。帝国データバンクが、国内でタクシー・ハイヤー事業を展開する2428社の従業員数の推移を調査した結果、2013年時点に比べ、69.7%にあたる1691社で「減少」した。このうち、13年からの減少率が「5割(半減)以上」となった企業は352社(14.5%)にのぼった。

従業員数が「半減」となったタクシー会社の割合を都道府県別(本社所在地)にみると、最も割合が高かったのは「茨城県」29.2%で、「香川県」29.0%、「奈良県」25.0%が続いた。「埼玉県」17.1%、「大阪府」16.9%など需要の大きい都市部でも半減企業は少なくない。

タクシー会社の人手状況 (2013年比)

コロナ禍初年度の2020年は80%超のタクシー会社が赤字だったが、22年度は赤字は46.7%まで減少。足元では、需要回復に加え、初乗り料金の上限が引き上げなどで収益環境は改善に向かっている。ただ、賃上げ余力は十分とはいえず、「コロナ禍で同業他社や他業界に転職・離職した従業員が戻ってこない」「若手の応募が来ない」など、人手不足解消は容易ではない。

一般ドライバーが自家用車で乗客を有償で運ぶ「ライドシェア」解禁の是非を巡る議論が活発化している。タクシー業界では「競争激化で従業員のさらなる流出を招く」「安全確保の点で問題が多い」と懸念する声が上がっている。

タクシー会社の損益状況

バナー写真 : PIXTA

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