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お忙しい皇室の1月 : 天皇陛下は元日早朝から祭祀おつとめ

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皇室にとって1月は多くの祭祀、行事が集中し、大変お忙しい月だ。天皇皇后両陛下をはじめ皇族方は、多忙の中で国民の幸せと国の発展を願われる。

天皇陛下は毎年の元日、夜がまだ明けきらない早朝から祭祀に臨まれる。祭祀だけでなく、祝賀行事なども目白押しで、分刻みのスケジュールになるときもある。

宮内庁のホームページによると、天皇陛下は今年、1日の早朝から「四方拝(しほうはい)」と呼ばれる祭祀に臨まれた。皇居・神嘉殿(しんかでん)南庭で、天照大神(あまてらすおおみかみ)をまつる伊勢神宮(三重県伊勢市)、歴代天皇が眠る山陵、四方の神々を遥拝された。1年で最初の皇室行事である。続いて陛下は、宮中三殿での「歳旦祭(さいたんさい)」で拝礼された。

陛下は1日、祭祀などに続いて、皇后さまとともに夕方まで祝賀行事に相次いで臨まれた。午前中は宮内庁長官や同庁幹部職員から祝賀のあいさつを受けた後、秋篠宮ご夫妻をはじめ成年皇族方とお会いになる「祝賀の儀」などをへて、岸田文雄首相ら三権の長、閣僚らから祝賀を受けられた。午後からは日本に駐在する外国の大使などからあいさつを受けられた。

新年祝賀の儀であいさつされる天皇皇后両陛下=1日、皇居・宮殿「松の間」(時事)
新年祝賀の儀であいさつされる天皇皇后両陛下=1日、皇居・宮殿「松の間」(時事)

例年2日は、天皇皇后両陛下が皇族方とともに宮殿・ベランダに立ち、東庭に集まった参賀者から祝賀を受けられる新年一般参賀が行われるが、今年は1日に石川県・能登半島で発生した地震を受けて中止された。

3日は、天皇陛下が国と国民の繁栄を祈られる「元始祭(げんしさい)」。4日は「奏事始(そうじはじめ)」があり、陛下は皇室の祭祀をつかさどる掌典長(しょうてんちょう)から、年始にあたって伊勢神宮や宮中の祭事について聞かれた。

講書始に臨まれる天皇皇后両陛下と皇族方=11日、皇居・宮殿「松の間」(時事)
講書始に臨まれる天皇皇后両陛下と皇族方=11日、皇居・宮殿「松の間」(時事)

11日は、天皇陛下が皇后さまとともに学会の各分野の第一人者から講義を受けられる「講書始(こうしょはじめ)」が行われた。今年は日本語学の金水敏・大阪大学名誉教授が「ことばのステレオタイプ“役割語”について」、刑事訴訟法学の井上正仁・東京大学名誉教授が「捜査法の進化と課題」、物理化学の西川恵子・千葉大学名誉教授が「ゆらぎで探る物質の構造」と題してそれぞれ講義した。講書始の儀は1869年、明治天皇が始めた「御講釈始(ごこうしゃくはじめ)」がはじまりとされている。1953年からは人文科学、社会科学、自然科学の3つの分野から行われるようになった。

日本の伝統文化を象徴する皇室らしい行事が、新春恒例の「歌会始(うたかいはじめ)」だ。天皇皇后両陛下、皇族方とともに、一般応募の入選者の和歌が伝統的な節回しで朗詠される。今年の題は「和」。儀式は司会の「読師(どくじ)」、全句を節をつけずに読む「講師(こうじ)」、第1句から節をつけて歌う「発声(はっせい)」、第2句以下を発声に合わせて歌う「講頌(こうしょう)」の諸役によって進められる。

天皇陛下の1月の主なご日程

1月1日

  • 四方拝…早朝に伊勢神宮、歴代の天皇が眠る山陵、四方の神々に向かって拝礼される祭祀。1年最初の行事
  • 歳旦祭…早朝に行われる年始の祭祀
  • 新年祝賀の儀…皇族方、三権の長らから新年のお祝いを受けられる

1月2日

  • 新年一般参賀…宮殿・ベランダで、一般の参賀者から祝賀を受けられる(今年は中止)

1月3日

  • 元始祭…国と国民の繁栄を祈られる祭祀

1月4日

  • 奏事始…皇室の祭祀をつかさどる掌典長から年始にあたり、伊勢神宮や宮中の祭事について聞かれる            

1月7日

  • 昭和天皇祭…昭和天皇の命日に行われる祭祀

1月11日

  • 講書始…学会の各分野の第一人者から講義を受けられる

1月19日

  • 歌会始…天皇皇后両陛下、皇族方のお歌とともに、一般からの入選歌が詠み上げられる新春恒例行事

1月30日

  • 孝明天皇例祭…明治天皇の父、孝明天皇の命日に行われる祭祀

(出所:宮内庁ホームページ)

バナー写真:歌会始に臨まれる天皇皇后両陛下=皇居・宮殿「松の間」(時事)

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