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日本とトルコ 外交関係樹立100周年:困ったときの助け合いの歴史

政治・外交 歴史

2024年、日本とトルコは外交関係樹立100周年を迎える。両国の友好関係は広く知られており、これまでも災害が発生するたびに助け合い、絆を深めてきた。能登半島地震でも「恩返し」としてトルコ人が次々と現地に入り、ボランティアに参加する姿が話題となっている。

日本-トルコ間の、今日の関係性を築くきっかけとなったのが、日本の海難史上初めての大規模外国船海難事故「エルトゥールル号事件」だ。

外交樹立からさかのぼること34年、1890年に当時のオスマン・トルコ帝国が親善使節団を日本に派遣した。このとき、一行が乗船していたのが軍艦エルトゥールル号だ。使節団は3カ月の東京滞在後、帰途に就いた途端、和歌山県串本町の大島樫野崎沖で台風に遭遇。乗組員580人余の命が失われる大惨事のなかで、大島島民による献身的な救助により69人の命が救われた。生存者は神戸で治療を受けた後、日本海軍の軍艦により無事にトルコに帰還。これが、エルトゥールル号事件の概要である。

こうしたいきさつから生まれたトルコの義理堅さを、日本が知ったのはおよそ1世紀後。1985年のイラン・イラク戦争下、タイムリミットが迫るテヘラン脱出に際し、邦人は移動手段を失っていた。窮地を救ってくれたのが、トルコ政府が派遣した特別機だった。後に、駐日トルコ大使はこの支援を「エルトゥールル号事件の借りを返しただけ」と語り、日本国民に驚きをもたらした。

その後も両国では災害が発生するたび、互いに支援の手を差し伸べてきた。2024年元日の能登半島地震で甚大な被害を受けた石川県輪島市では、発生からわずか4日後、中部地方から来たというトルコ人らが炊き出しをする姿が報じられている。1月11日には埼玉県から駆けつけた在日トルコ大使館職員らも支援に加わり、19日には大阪のトルコ料理店主が珠洲市でケバブを振る舞った。絆を忘れないトルコの厚情に、被災者から感謝の声が上がっている。

日本-トルコ間の災害支援

(外務省ホームページを基に編集部作成)

1890年9月 エルトゥールル号事件

オスマン帝国の親善使節団を乗せたエルトゥールル号が和歌山県沖で沈没。日本の官民挙げての救護により69人が救助され、海軍軍艦が生存者を本国へ送り届ける。

1985年3月 イラン・イラク戦争

イランの首都テヘランで孤立した邦人を救出するため、トルコ政府がトルコ航空の特別機を派遣。

2011年3月 東日本大震災

トルコ政府が32人の支援・救助チームを派遣。支援・救助チームとしては最長の約3週間滞在し活動。支援物資として缶詰(約6万個)、水(約18.5トン)、毛布(約5000枚)を被災地に届ける。

2011年10月 トルコ東部の地震

日本政府が緊急援助物資としてテント500張を供与。仮設住宅への支援のため1000万ドルの緊急無償資金協力を行う。

2023年2月 トルコ・シリア地震

日本政府の国際緊急援助隊が発災翌日に現地入りし、捜索活動に加わる。緊急援助物資(テント、毛布など)の供与、および850万ドルの緊急無償資金協力等を行う。また、復旧・復興支援として800億円の借款の供与と技術協力を実施。

バナー写真:能登半島地震で炊き出しのボランティアをするトルコ人(ロイター)

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