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政治資金規正法 主な改正12回、「抜け道」いまなお

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日本の政界を揺るがしている自民党の政治資金を巡る事件。捜査する東京地検特捜部が立件の根拠とするのが、政治資金規正法だ。政治団体の収支などを監視する法律だが、「抜け道」が多く「ザル法」とやゆされることが多い。

政治資金規正法の歴史は、連合国軍総司令部(GHQ)の占領下にさかのぼる。政治腐敗の防止を目的に1948年に制定され、田中角栄首相(当時)の金脈問題、値上がりの期待された未公開株が賄賂として政治家に渡ったリクルート事件など、「政治とカネ」の問題が浮上するたびに規制の強化が図られてきた。総務省によると、主なものだけでこれまでに12回改正された。同法の名称に「規制」ではなく、「規正」の語が用いられているのは、政治資金の透明性を第一とし、「規則に則って政治活動の正義と公正を確保する」ことを目的としているためである。

報道陣に公開された2022年の政治資金収支報告書(総務相所管の中央分)=2023年11月21日、東京・霞が関(時事)
報道陣に公開された2022年の政治資金収支報告書(総務相所管の中央分)=2023年11月21日、東京・霞が関(時事)

「政治資金」とは、政党や政治家(公職の候補者)が政治活動をするための資金の総称で、企業、団体、個人からの寄付や、税金を財源とする政党交付金、パーティーなどの収入が主な柱だ。政治団体は前年にどのようにして政治資金を集め、どのように使ったかなどを記した「政治資金収支報告書」を、総務相または都道府県選挙管理委員会に提出することが義務付けられている。

主な報告内容は、(1)寄付、(2)政治資金パーティーの収入、(3)支出、(4)資産の4点だ。年間5万円を超える寄付をした者、20万円分を超えるパーティー券の購入者については名前などを明らかにしなければならない。支出は、政治活動費のうち1件当たり5万円以上について、支出先の名前などを記入する。

年間5万円超の寄付をした者について実名を記載する義務がある一方で、20万円以下のパーティー券購入者に関しては記載義務がない「緩さ」は常々問題視されてきた。規正法は、政治家個人への企業・団体献金は禁じるが、パーティーは政治家個人の政治団体でも開催が可能で、企業・団体からの資金集めの「抜け道」になっている。パーティー券購入は現金のやり取りが少なくないとされ、「裏金の温床になる」との指摘が根強い。また、企業・団体献金を受けた政党から、政治家個人の政治団体へさらに寄付が行われることも多く、資金の流れがつかみにくく、規正法はしばしば「ザル法」とやゆされる。

政治団体の収入の変遷

総務省によると、2022年分の政治資金収支報告書を総務相、都道府県選挙管理委員会に提出した政治団体は5万8164団体だった。収入は2097億円で前年比1.4%増、支出は2063億円で同0.9%減。収入のうち政治資金パーティーによるものは181億円(8.6%)あった。政治資金パーティーの収入は2006年の274億円がピーク。

バナー写真:自民党岸田派(宏池会)の政治資金パーティーで乾杯する岸田文雄首相(前列右端)ら=2023年5月17日、東京都港区(時事)

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